美容師の確定申告のやり方|フリーランス・業務委託が押さえるべき手順と経費・控除の基本

美容師の確定申告のやり方|フリーランス・業務委託が押さえるべき手順と経費・控除の基本

フリーランスや業務委託で働く美容師にとって、確定申告は避けて通れない手続きです。

「何から始めればいいかわからない」

「経費ってどこまで落とせるの?」

そんな疑問を抱えている方も多いと思います。

確定申告は、正しくやれば手元に残るお金を増やすチャンスでもあります。

ただし、「経費をたくさん使えば節税になる」という考え方には落とし穴があります。

この記事では、美容師の確定申告の基本的な手順から、経費として計上できるもの、そして「本当にお金を残すための節税」の考え方までを整理します。

西脇

初めての確定申告で不安な方にも、できるだけわかりやすくお伝えしていきます。

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監修者

公認会計士・税理士
西脇 敬久

MBA、公認会計士、税理士の資格を有し、美容業界に特化した公認会計士・税理士として多数の美容室を支援。
決算書や試算表を専門家だけのものにせず、経営者が経営判断に使える形へと整理することを強みとしている。
美容室経営において本当に見るべき数字を明確にし、「誰でもわかる会計の見える化」を通じて、利益構造やコストバランスをシンプルに把握できる財務設計を行う。美容室向けの会計セミナー講師としても活動中。

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500サロン以上の支援経験をもとに、数字・人・将来の判断を“感覚”ではなく“軸”でできる経営を支えています。税金や節税だけで終わらせず、
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目次

そもそも確定申告とは何か?

1年間の「もうけ」を計算して、税金を納める手続き

確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間に得た収入と、それにかかった経費を計算し、「いくら稼いだか(所得)」を税務署に申告する手続きのこと

所得に応じて所得税が決まり、その税金を自分で納めます。

サロンに雇用されている美容師は、毎月の給与から税金が天引き(源泉徴収)され、年末にサロン側が精算(年末調整)してくれるので、基本的に自分で申告する必要はありません。

しかし、フリーランスや業務委託で働く美容師は、誰も代わりに計算してくれないので、自分で確定申告を行う必要があります。

確定申告が必要な美容師・不要な美容師

働き方確定申告理由
業務委託でサロンから報酬を受け取っている必要個人事業主として自分で申告する
シェアサロン・面貸しで施術を提供している必要個人事業主として自分で申告する
自分で物件を借りてサロンを個人経営している必要個人事業主として自分で申告する
サロンに正社員・アルバイトとして雇用されている原則不要サロン側が年末調整してくれる

ただし、雇用されていても以下に該当する場合は確定申告が必要です。

雇用されてても確定申告をする方

  • 給与以外に年間20万円以上の副業収入がある場合。
  • 2カ所以上から給与を受け取っている場合。
  • 年間の給与収入が2,000万円を超える場合。

フリーランス・業務委託の方は、年間の所得(売上から経費を引いた金額)が48万円を超えると確定申告が必要になります。

フリーランス美容師として活動しているなら、ほぼ全員が該当すると考えていいでしょう。

白色申告と青色申告の違い

2つの申告方法がある

確定申告には「白色申告」と「青色申告」の2種類があります。

どちらを選ぶかで、税金の計算方法や節税メリットが大きく変わります。

西脇

結論から言えば、フリーランス美容師には青色申告を強くおすすめします。

白色申告と青色申告の比較

項目白色申告青色申告
特別控除なし最大65万円
帳簿の種類簡易帳簿(単式簿記)複式簿記(65万円控除の場合)
赤字の繰越できない3年間繰り越せる
家族への給与経費にできない(一部控除あり)全額経費にできる(届出が必要)
30万円未満の備品通常の減価償却一括で経費にできる(少額減価償却資産の特例)
事前届出不要青色申告承認申請書の提出が必要
西脇

表の中にいくつか聞き慣れない言葉が出てくるので、ここで補足します。
気になる方はクリックしてください!

「複式簿記」とは?

ひとつの取引を「入ってきたお金」と「出ていったお金」の両方から記録する方法です。

難しそうに聞こえますが、freeeやマネーフォワードなどの会計ソフトを使えば、銀行口座やクレジットカードの明細を取り込んで「これは材料費」「これは交通費」と選ぶだけ。

ソフトが自動的に複式簿記の形に変換してくれるので、簿記の知識がなくても問題ありません。

「赤字の繰越」とは?

事業が赤字になった年の損失を、翌年以降の黒字と相殺できる仕組みです。

たとえば開業初年度に設備投資で50万円の赤字が出ても、翌年の黒字からその50万円を差し引けるので、翌年の税金が安くなります。

開業直後は出費がかさみやすいフリーランス美容師にとって、大きな安心材料です。

「少額減価償却資産の特例」とは?

30万円未満の備品をその年に一括で経費にできる制度です。

白色申告の場合、10万円以上の備品は「減価償却」といって数年に分けて少しずつ経費にしなければなりません。

青色申告なら、たとえば25万円のシャンプー台を買った年にまとめて経費にできるので、その年の税金をぐっと抑えられます。

白色でもいい人は?

「まだ自信がないから、最初は白色でいい?」と思う方もいるかもしれません。

たしかに、フリーランスになったばかりで収入が少なく、経費もほとんどかからない時期であれば、白色申告でも大きな差は出ません。 ただ、会計ソフトを使えば白色も青色も実質やることはほぼ同じです。

入力する内容も、操作の手間もほとんど変わりません。

であれば、最初から青色申告で始めておいたほうが、65万円控除の恩恵を早く受けられます。

「白色で慣れてから青色に切り替えよう」と考えるよりも、「最初から青色にしておく」ほうがシンプルです。

青色申告の最大のメリットは「65万円の特別控除」

青色申告の最大のメリットは、最大65万円の特別控除を受けられることです。

「65万円の控除」とは、計算上の所得から65万円を差し引けるということ。

つまり、その分だけ税金が安くなります。

西脇

具体的にどのくらい変わるか、例を見てみましょう。
売上400万円、経費150万円のフリーランス美容師の場合で比較します。

項目白色申告青色申告(65万円控除)
売上400万円400万円
経費150万円150万円
青色申告特別控除0円65万円
所得250万円185万円
所得税(概算)約15.4万円約8.9万円
住民税(概算)約25万円約18.5万円
税金の合計(概算)約40.4万円約27.4万円
差額約13万円お得
※基礎控除48万円を適用した概算値。復興特別所得税、その他の控除は含まず。

白色申告と青色申告で、年間約13万円の差です。

帳簿をつける手間は会計ソフトを使えばかなり軽減できるので、この差を考えると青色申告を選ばない理由はほとんどありません。

65万円控除を受けるための3つの条件

青色申告で65万円の控除を受けるには、以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。

STEP
複式簿記で帳簿をつけること
STEP
確定申告書に貸借対照表と損益計算書を添付すること
STEP
申告期限内にe-Tax(電子申告)で提出すること、または電子帳簿保存を行うこと

e-Taxを使わず紙で提出した場合は、控除額が55万円に下がります。

それでも白色申告より大きなメリットがあるので、まずは青色申告を始めることが大切です。

西脇

確定申告のやり方については、この後説明するので一旦流れだけ見ておいてください!

e-Tax(イータックス)とは国税の申告・申請・納税をインターネットで行える国税庁のオンラインシステムのことです。
簡単に言うと、「税務署に行かなくても、ネットで確定申告ができる仕組み」

確定申告を始める前にやっておくこと

開業届と青色申告承認申請書の提出

青色申告をするには、事前に2つの届出を税務署に提出する必要があります。

届出書提出期限内容
開業届(個人事業の開業届出書)開業日から1カ月以内「個人事業を始めました」という届出
青色申告承認申請書その年の3月15日まで(年途中の開業は開業日から2カ月以内)「青色申告をします」という届出

どちらも税務署の窓口で提出できますし、国税庁のe-Taxを使えばオンラインでも提出可能です。

開業届の職業欄には「美容師」と記載すればOKです。

すでにフリーランスとして活動しているけれど開業届を出していない、という方も少なくありません。

開業届を出していないと青色申告ができず、65万円控除を受けられません。

まだの方は、早めに提出することをおすすめします。

事業用の口座とクレジットカードを分ける

確定申告をスムーズに進めるために、ひとつだけ強くおすすめしたいことがあります。

事業用の銀行口座とクレジットカードを、プライベート用と分けてください。

仕事に関する入出金をすべて事業用の口座に集約するだけで、帳簿づけの手間が激減します。

「あの支出は仕事?プライベート?」と悩む時間がなくなり、会計ソフトとの連携もスムーズになります。

新しく銀行口座を開設する必要はなく、今使っている口座のうちひとつを事業用として使うだけで十分です。

確定申告の手順を4ステップで整理する

ここからは、確定申告の具体的な手順を4つのステップに分けて解説します。

ステップ1:必要書類を集める

確定申告の土台になるのが、1年間の収入と支出を証明する書類です。

以下の3種類に分けて整理すると、漏れなく集められます。

種類必要な書類入手先
収入を証明するもの支払調書、報酬明細、売上の記録サロンから受け取る、または自分で記録
経費を証明するものレシート、領収書、クレジットカード明細、銀行の入出金記録日頃から保管しておく
控除に必要なもの国民健康保険料の支払証明書、国民年金の控除証明書、生命保険料の控除証明書、小規模企業共済の掛金払込証明書など各機関から年末頃に届く

これらの書類は、確定申告の時期にまとめて探そうとすると大変です。

月ごとに封筒やファイルに入れておくだけで、申告時の負担が大幅に減ります。

レシートは日付が経つと印字が薄くなることもあるので、スマホで写真を撮っておくのもおすすめです。

ステップ2:帳簿をつける

青色申告で65万円控除を受けるには、複式簿記による帳簿の作成が必要です。

「複式簿記」と聞くと難しそうに感じますが、freeeやマネーフォワードなどのクラウド会計ソフトを使えば、銀行口座やクレジットカードと連携して自動で仕訳を作成してくれます。

やることは、自動で取り込まれた取引データを確認して、「これは材料費」「これは交通費」と勘定科目を選ぶだけ。

簿記の知識がなくても、画面の案内に沿って操作すれば帳簿は完成します。

事業用の口座とカードを分けておけば、取り込まれるデータがすべて事業に関するものになるので、仕分け作業もシンプルです。

帳簿は毎日つける必要はありませんが、月に1回はまとめて入力する習慣をつけると、年末にあわてずに済みます。

ステップ3:確定申告書を作成する

帳簿が整ったら、確定申告書を作成します。

青色申告の場合に必要な書類は以下のとおりです。

書類名内容
確定申告書所得、控除、税額を記入する書類
青色申告決算書(損益計算書)1年間の売上・経費・利益をまとめた書類
青色申告決算書(貸借対照表)年末時点の資産・負債をまとめた書類(65万円控除に必要)

作成方法は主に3つあります。

国税庁の「確定申告書等作成コーナー」:無料で利用でき、画面の案内に沿って数字を入力していくだけで申告書が完成します。そのままe-Taxで電子提出も可能です。

会計ソフトから出力:freeeやマネーフォワードを使っている場合、帳簿のデータからそのまま申告書を作成できます。e-Taxとの連携もスムーズです。

税理士に依頼:帳簿づけから申告書の作成・提出まで、すべてお任せする方法。費用はかかりますが、ミスのリスクが最も低いです。

ステップ4:申告書を提出・納税する

確定申告書が完成したら、提出と納税を行います。

提出方法特徴
e-Tax(電子申告)マイナンバーカードがあれば自宅からオンラインで提出可能。65万円控除の条件のひとつ
郵送管轄の税務署へ郵送。消印日が提出日になる
税務署の窓口直接持参して提出。申告期間中は混雑する

確定申告の期間は、毎年2月16日から3月15日まで。

期限を過ぎると、無申告加算税(納付すべき税額の5〜20%)や延滞税が課される場合があります。

余裕を持って準備を進め、できれば2月中に提出するのが理想です。

納税方法は、口座振替、クレジットカード払い、コンビニ払い、e-Taxでの電子納税など複数の方法があります。

口座振替を選ぶと、引き落とし日が4月下旬になるので、資金繰りに少し余裕が生まれます。

美容師が経費にできるもの・できないもの

確定申告で最も悩むのが「どこまで経費にしていいか?」ではないでしょうか。

経費とは、売上を得るために必要な支出のことです。

正しく計上すれば所得が下がり、税金も安くなります。

経費にできる主な項目

勘定科目具体例
材料費(消耗品費)カラー剤、パーマ液、シャンプー、トリートメント、シザー、カミソリ、タオル、グローブ
広告宣伝費ホットペッパービューティー掲載料、SNS広告費、チラシ制作費、ホームページ運営費
地代家賃シェアサロンの利用料、面貸しの席料、テナントの家賃
水道光熱費サロンの水道代、電気代、ガス代
通信費仕事用スマホの料金、インターネット回線費、予約管理アプリの利用料
旅費交通費講習会やセミナーへの交通費、仕事先への移動費
研修費技術講習の受講料、外部セミナー参加費、資格取得費用
減価償却費10万円以上のシャンプー台、セット椅子、ドライヤーなどの設備(耐用年数に応じて分割計上)
接待交際費仕事関係の飲食代、お祝い・香典など
新聞図書費美容専門誌、技術書籍、経営関連の書籍
損害保険料サロンの火災保険、賠償責任保険
支払手数料振込手数料、決済手数料

「家事按分」を理解する

自宅兼サロンの場合や、スマホをプライベートと兼用している場合は、「家事按分(かじあんぶん)」という考え方で経費を計算します。

家事按分とは、プライベートと事業の両方に使っている支出を、使用割合に応じて分けることです。

西脇

具体例を見ていただいた方がイメージしやすいと思いますので、例を挙げます!

支出按分の考え方
家賃自宅全体の面積に対する事業使用面積の割合100㎡のうち20㎡をサロンとして使用 → 家賃の20%を経費
水道光熱費事業使用の割合(面積や使用時間で算出)自宅兼サロンで日中の半分を業務使用 → 光熱費の30〜50%を経費
スマホ料金仕事とプライベートの使用割合仕事で半分使用 → 料金の50%を経費
車の維持費走行距離のうち仕事で使う割合月間走行距離の70%が仕事 → 維持費の70%を経費

按分の割合は、合理的な根拠があれば自分で設定できます。

西脇

ただし、税務調査で「なぜこの割合なのか」と聞かれたときに説明できるよう、算出根拠はメモとして残しておきましょう。

経費にできないもの

以下のものは、原則として経費に認められません。

項目具体例補足
所得税・住民税自分にかかる所得税、住民税事業税や消費税は経費にできる
プライベートの支出家族との食事代、私的な旅行費、個人的な買い物、趣味の道具事業と関係のない支出はすべてNG
美容師の私服仕事中に着ているがプライベートでも着る服、靴、アクセサリーロゴ入り制服やエプロンなど業務専用の衣類は経費OK
罰金・反則金交通違反の罰金、駐車違反の反則金理由を問わず経費にはできない
生計費自分自身の生活費、家族の生活費事業主個人の食費・家賃(按分なし)など
個人の保険料生命保険料、医療保険料、個人年金保険料経費にはならないが「控除」の対象になる
借入金の元本返済事業用ローンの元本返済分利息部分は経費にできるが、元本は経費にならない
スタッフ以外への給与生計を一にする家族への給与(白色申告の場合)青色申告で届出をすれば経費にできる

美容師が特に経費にしていいか迷いやすいもの

経費にできる・できないの判断が分かれやすい項目を、もう少し具体的に整理します。

支出経費になる?判断のポイント
仕事中に着る私服原則NGプライベートでも着られる服は「業務のためだけの支出」と言い切れない
ロゴ入り制服・エプロンOK業務専用であることが明確なら消耗品費として計上できる
美容院での自分のカット代原則NG自分の身だしなみはプライベートの支出とみなされやすい
お客様への施術練習用ウィッグOK技術練習のための業務上の消耗品
ネイルやまつエクの施術(自分用)原則NG個人的な美容の支出と判断される
美容関連の書籍・雑誌OKトレンド研究や技術向上のための新聞図書費
仕事仲間との飲食代条件付きOK情報交換や打ち合わせの目的があれば接待交際費。ただし毎回の飲み会を全額経費にするのは危険
SNS用に購入したカメラOK集客用のSNS運用に必要な備品として計上可能
プライベートでも使うPC按分で一部OK業務使用の割合を算出して家事按分する
スポーツジムの会費原則NG個人の健康管理はプライベートの支出。福利厚生費として認められるのは法人の場合が多い
お客様へのプレゼント・差し入れOK接待交際費として計上可能。金額が常識の範囲内であること
独立前に購入したシザーやドライヤー条件付きOK開業後も業務に使っているなら、開業費として計上できる場合がある

迷ったときの判断基準

「これは経費にしていいのか?」

と迷ったときの判断基準はシンプルです。

経費の判断基準

「その支出がなければ、売上を得ることができなかったかどうか」

この問いに「はい」と言えるなら経費になる可能性が高い。

「仕事でもプライベートでも使っている」なら按分を検討する。「いいえ」なら経費にはできません。

もうひとつ大事な判断基準があります。

「税務署から『なぜこれが経費なのですか?』と聞かれたとき、自信を持って説明できるかどうか」

説明できるなら計上してOK。説明に困るなら、やめておいたほうが安全です。

「経費で節税」の落とし穴

経費を増やしてもお金は残らない

確定申告の話になると、「経費をたくさん使えば税金が減る」という情報をよく目にします。

これは計算上は間違いではありませんが、大きな落とし穴があります。

経費を増やすということは、お金を使うということです。

具体的な数字で見てみましょう。

所得税率10%の美容師が、税金を減らすために30万円分の経費を追加で使った場合。

税金の減額:30万円 × 10% = 3万円。

手元から出ていくお金:30万円。

差し引き:27万円のマイナス。

3万円の税金を減らすために、27万円を失っています。

「税金を払いたくないから経費をたくさん使おう」という発想は、お金を使って自分を貧しくする選択です。

もちろん、事業に本当に必要な支出を正しく経費にすることは大切です。

問題なのは、「節税のために不要なものを買う」という行動です。

増やすべきは「経費」ではなく「控除」

本当にお金を残したいなら、増やすべきは経費ではなく「控除」です。

ここが、確定申告で最も重要なポイントです。

経費と控除の違いを整理します。

項目経費控除
仕組みお金を使って所得を減らす制度を活用して課税所得を減らす
お金の行き先使ったら手元からなくなる積み立て系の控除なら将来の資産になる
結果税金は減るが、手元のお金も減る税金が減り、積み立て分は将来戻ってくる

経費は「お金を使って消す」。控除は「積み立てながら税金を減らす」。

この違いを理解しているかどうかで、確定申告後に手元に残るお金が大きく変わります。

フリーランス美容師が使える主な控除

フリーランス美容師が活用できる、代表的な控除を整理します。

控除の種類内容年間の控除額
青色申告特別控除青色申告をすることで受けられる控除最大65万円
基礎控除すべての納税者に適用される控除48万円(所得2,400万円以下の場合)
社会保険料控除国民健康保険料、国民年金保険料の支払額支払った全額
生命保険料控除生命保険、医療保険、個人年金保険の保険料最大12万円
小規模企業共済等掛金控除小規模企業共済、iDeCoの掛金支払った全額
医療費控除年間の医療費が10万円を超えた場合超えた分(上限200万円)

この中で特に注目してほしいのが「小規模企業共済等掛金控除」です。

小規模企業共済は「三刀流」の節税ツール

小規模企業共済は、個人事業主のための退職金制度

掛金は月額1,000円から70,000円の範囲で自由に設定でき、全額が所得控除の対象になります。

なぜ「三刀流」かというと、3つの役割を同時に果たしてくれるからです。

  1. 節税・・・掛金が全額所得控除になるので、払った分だけ課税所得が減ります。
  2. 退職金・・・廃業時や退職時に共済金を受け取れます。受け取り時は「退職所得」扱いになり、通常の所得よりも大幅に税金が優遇されます。
  3. 貸付制度・・・掛金の範囲内で、金利0.9〜1.5%の低金利で貸付を受けることができます。運転資金や設備投資にも使え、審査も早い(申込から約1〜2週間)のが特徴です。

たとえば月3万円(年間36万円)を積み立てた場合で見てみましょう。

所得税率10%なら、所得税の節税額は3万6,000円。住民税(税率10%)と合わせると、年間約7万2,000円の節税になります。

そして、そのお金は消えるのではなく、将来の自分の退職金として積み上がっている。

経費で36万円使えば手元から36万円が消えます。

小規模企業共済で36万円積み立てれば、7万2,000円の節税をしながら、36万円は将来の自分の資産になる。

どちらがお金を残せるかは明らかです。

iDeCo(個人型確定拠出年金)もあわせて検討

iDeCoは、自分で運用先を選んで積み立てる年金制度です。

掛金は全額が所得控除の対象で、運用益も非課税。60歳以降に受け取ります。

フリーランスの場合、月額最大68,000円(年間81万6,000円)まで掛けることができます。

小規模企業共済と違い、60歳まで原則引き出せないという制約がありますが、その分「確実に老後資金をつくれる」というメリットがあります。

余裕がある方は、小規模企業共済とiDeCoの両方を活用することで、節税しながら将来の資産を二重に積み上げることが可能です。

まとめ

美容師の確定申告は、大きく分けると「書類を集める → 帳簿をつける → 申告書を作成する → 提出する」の4ステップです。

青色申告を選べば最大65万円の特別控除が受けられます。

まだ白色申告の方、まだ開業届を出していない方は、切り替えを検討してみてください。

経費として計上できるものを正しく把握することは大切ですが、「経費を増やせば節税になる」という考え方には注意が必要です。

経費を使えばお金は手元からなくなります。

本当にお金を残したいなら、小規模企業共済やiDeCoなど、積み立てながら課税所得を減らせる「控除」の仕組みを活用すること。

これが、確定申告を「ただの手続き」で終わらせず、「お金を残すための仕組み」に変える考え方です。

まずは今年の確定申告から、経費の欄だけでなく、控除の欄もしっかり見直してみてください。

ぜひ、今日から取り入れてみてください。

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美容師の確定申告のやり方についてフリーランス・業務委託からのよくある質問

Q. 業務委託で源泉徴収されている場合、確定申告は不要?

いいえ、確定申告は必要です。

業務委託でサロンから報酬を受け取る際に、あらかじめ税金が天引き(源泉徴収)されていることがあります。

しかし、これはあくまで「仮の税額」です。

確定申告で正確な所得と税額を計算し、源泉徴収された金額との差額を精算します。

払いすぎていた場合は還付(返金)されるので、確定申告をしないとむしろ損をする可能性があります。

サロンから「支払調書」が届いたら、源泉徴収額を確認して確定申告書に記載してください。

Q. 開業届を出していないけど確定申告はできる?

確定申告自体は、開業届を出していなくても行えます。

ただし、開業届を出していないと青色申告ができず、65万円の特別控除を受けられません。

白色申告になるため、結果的に税金を多く払うことになります。

まだ出していない方は、早めに開業届と青色申告承認申請書を提出することをおすすめします。

提出は税務署の窓口でも、e-Taxでも可能です。

Q. 確定申告を忘れた・期限に遅れた場合はどうなる?

期限(3月15日)を過ぎても、遅れてでも申告することが大切です。

「期限を過ぎたからもう無理」ということはありません。

ただし、期限後に申告した場合、無申告加算税(原則として納付すべき税額の5〜20%)や延滞税が課される可能性があります。

一方で、期限後1カ月以内に自主的に申告し、かつ期限内に税金を全額納付していた場合は、無申告加算税が免除されるケースもあります。

「忘れてしまった」と気づいた時点で、すぐに申告手続きを進めてください。

放置すればするほど、延滞税が膨らんでいきます。

Q. 会計ソフトは何を使えばいい?

フリーランス美容師によく使われているのは、freee、マネーフォワードクラウド確定申告、弥生のクラウド確定申告の3つです。

いずれも銀行口座やクレジットカードとの自動連携に対応しており、簿記の知識がなくても帳簿をつけられます。

無料プランやお試し期間がある場合が多いので、まずは使ってみて自分に合うものを選ぶのがおすすめです。

選ぶ際のポイントは「e-Taxとの連携がスムーズか」「画面が見やすいか」「スマホでも操作できるか」の3点です。

Q. 確定申告を税理士に頼むといくらくらいかかる?

フリーランス美容師の確定申告であれば、年間5万円〜15万円程度が相場です。

売上規模や記帳の状態、青色申告か白色申告かによって費用は変わります。

「費用がかかるから自分でやる」という判断も理解できますが、税理士に依頼することで控除の漏れや経費の計上ミスが防げ、結果的に税理士費用以上の節税につながるケースも少なくありません。

特に初年度は税理士に相談して正しい仕組みを教わり、2年目以降は自分でやる、という使い方もおすすめです。

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