「美容国保って何?入った方がいいの?」
美容師として独立したり、フリーランスで働き始めたりすると、自分で健康保険を選ばなければなりません。会社員時代はサロンが全部やってくれていましたが、独立後はそうはいきません。
このとき選択肢に出てくるのが「美容国保」です。
美容国保は、美容業界で働く人のための健康保険で、保険料が収入に関係なく一律という特徴があります。
稼ぎが増えても保険料が変わらないため、多くの美容師に利用されています。
ただし、誰にとっても美容国保が一番お得とは限りません。収入や家族構成、将来の働き方によっては、他の保険の方が有利になるケースもあります。
この記事では、「美容国保ってそもそも何?」「保険料はいくら?」「他の保険と何が違うの?」「自分は入った方がいい?」という疑問に、ひとつずつ答えていきます。
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美容国保とは|美容師のための健康保険
まず、美容国保の基本的な仕組みから説明します。
日本では、すべての人が何かしらの健康保険に入ることが義務づけられています。健康保険に入っていると、病院での支払いが原則3割負担で済みます。
健康保険にはいくつかの種類がありますが、美容師に関係するのは主に次の3つです。
| 保険の種類 | 誰が入る保険か | ひと言でいうと |
|---|---|---|
| 市区町村の国民健康保険 | 自営業者、フリーランスなど | 住んでいる市区町村で入る保険 |
| 美容国保 | 美容業で働く人 | 美容業界専用の国民健康保険 |
| 協会けんぽ(社会保険) | 会社員、法人に勤める人 | 会社が半分払ってくれる保険 |
美容国保の正式名称は「東京美容国民健康保険組合」。
名前のとおり国民健康保険の一種ですが、美容業界に特化している点がふつうの国民健康保険との違いです。
美容国保に入れるエリア
美容国保は全国どこでも入れるわけではありません。
東京美容国民健康保険組合の対象エリアは、東京都・千葉県・埼玉県・茨城県・神奈川県の一部地域です。
大阪には「大阪府整容国民健康保険組合」という別の組合があります。
対象エリア外に事業所がある場合は、市区町村の国民健康保険に加入することになります。
美容国保の加入条件|個人事業主・フリーランスでも入れる?
「自分は美容国保に入れるの?」という疑問に答えます。
入れる人
美容国保に入れるのは、個人事業主(法人ではない事業所)の美容室で働く事業主と従業員です。
フリーランス美容師も、開業届を出して個人事業主として活動していれば入れます。シェアサロンで働いているフリーランスの方も対象です。業務委託で働いている場合も、個人事業主であれば加入できます。
レセプション(受付スタッフ)など、美容師免許を持っていない従業員も、事業主と一緒であれば加入できるケースがあります。
アイリスト・ネイリスト・エステティシャンは?
アイリストは美容師免許が必要な職種のため、美容室に所属していれば対象になります。
ネイリストやエステティシャンは、美容室の事業所に所属していれば入れるケースがありますが、組合によって判断が分かれます。事前に組合へ問い合わせてください。
入れない人
法人(株式会社や合同会社)の美容室に勤めている人は、原則として美容国保には入れません。法人は協会けんぽ(社会保険)に加入する義務があるためです。
ただし例外があります。個人事業主の時代に美容国保に入っていたサロンが法人化した場合、所定の手続きを踏めば美容国保に残ることができます。この手続きには厳しい期限があるため、後半の「法人化するときの注意点」で詳しく解説します。
美容国保の保険料はいくら?【令和7年度の最新データ】
美容国保の最大の特徴は、保険料が収入に関係なく一律ということです。
どれだけ稼いでいても、保険料は同じ金額。ここが市区町村の国民健康保険との一番の違いです。
40歳未満の保険料
| 誰の分? | 月額 |
|---|---|
| 事業主(オーナー本人) | 21,500円 |
| 従業員(スタッフ) | 15,500円 |
| 家族 | 9,500円 |
| 家族(小学校入学前の子ども) | 6,000円 |
40歳〜64歳の保険料(介護保険料を含む)
40歳になると「介護保険料」が上乗せされます。
| 誰の分? | 月額 |
|---|---|
| 事業主(40〜64歳) | 25,500円 |
| 従業員(40〜64歳) | 19,500円 |
| 家族(40〜64歳) | 13,500円 |
※保険料は年度ごとに改定される可能性があります。最新の金額は東京美容国民健康保険組合の公式サイトで確認してください。
保険料は誰が払う?
美容国保は国民健康保険の仲間なので、協会けんぽのように「会社が半分払う」というルールはありません。
事業主がまとめて組合に納めますが、オーナーとスタッフの間でどう分けるかは各サロンの自由です。
オーナーが全額負担しているサロンもあれば、スタッフの自己負担にしているサロンもあります。オーナーが負担してあげている場合は、求人でのアピールポイントになります。
美容国保と国民健康保険(市区町村国保)の違い
「ふつうの国民健康保険と何が違うの?」を整理します。
| 比較ポイント | 美容国保 | 市区町村の国民健康保険 |
|---|---|---|
| 保険料の決まり方 | 収入に関係なく一律 | 前年の所得に応じて変わる |
| 所得が高いとき | 保険料は変わらない → お得になりやすい | 所得に連動して上がる |
| 所得が低いとき | 一律なので割高になることも | 軽減制度があり安くなることも |
| 扶養の仕組み | あり(家族は月9,500円で加入できる) | なし(家族も1人ずつ保険料がかかる) |
| 出産手当金 | あり(ただし少額。後で解説) | なし |
| 入院手当金 | あり | なし |
ざっくり言うと、稼いでいる人ほど美容国保がお得。所得が低い時期(開業直後など)は市区町村の国保の方が安くなるケースもある、という関係です。
また、家族がいる場合は美容国保の扶養制度がポイントになります。市区町村の国保には「扶養」という仕組みがないため、家族の人数分だけ保険料がかかります。美容国保なら家族1人あたり月9,500円で入れるため、家族が多い方は美容国保の方がトータルで安くなりやすいです。
具体例で比較してみると
年間所得400万円の個人事業主(扶養家族なし)の場合をざっくり試算してみます。
美容国保:月21,500円 × 12カ月 = 年間258,000円
市区町村国保:自治体によって異なりますが、年間40万〜50万円程度になるケースが多いです。
この場合、美容国保の方が年間で15万〜25万円程度安くなる計算です。所得が高くなるほど、この差はさらに広がります。
※市区町村国保の保険料は自治体ごとに異なります。正確な金額はお住まいの市区町村で確認してください。
美容国保と社会保険(協会けんぽ)の違い
「社会保険と何が違うの?」も整理します。法人化を考えているオーナーや、勤務先で社保に入っている方にとっては特に大事な比較です。
| 比較ポイント | 美容国保 | 協会けんぽ(社会保険) |
|---|---|---|
| 保険料の決まり方 | 一律(定額) | 給料の金額に応じて変わる |
| 会社の負担 | ルールなし(サロンの自由) | 会社が半額を負担してくれる |
| 扶養の仕組み | あり(家族は月9,500円) | あり(扶養家族の保険料は追加負担なし) |
| 出産手当金 | 15万円程度 | 産休中の給料の約3分の2が支給される |
| 傷病手当金 | 入院したときだけ(1日4,000〜5,000円・30日まで) | 病気やケガで働けない間、給料の約3分の2が最長1年半もらえる |
| 産休・育休中の保険料 | 免除なし(ふつうに払う) | 届出すれば免除される |
| 年金 | 国民年金だけ | 厚生年金にも入れる(将来の年金が増える) |
一番大きな違いは、いざというときの保障の手厚さです。
出産手当金を例にすると、協会けんぽでは産休中に「給料の約3分の2 × 約98日分」が支給されます。月収25万円のスタッフなら約54万円です。一方、美容国保の出産手当金は15万円程度。差は約40万円になります。
傷病手当金(病気やケガで働けなくなったときの保障)も同様です。協会けんぽなら最長1年6カ月にわたって給料の約3分の2が支給されますが、美容国保では入院時のみ、しかも30日までの支給です。
また、協会けんぽに入ると同時に「厚生年金」にも加入します。将来受け取る年金が国民年金だけの場合よりも増えるため、老後の備えという面でも差が出ます。
美容国保のメリット・デメリット
ここまでの比較をふまえて、美容国保のメリットとデメリットを整理します。
メリット
保険料が一律で、稼いでも上がらないのが最大のメリットです。売上が伸びているオーナーやフリーランス美容師にとって、市区町村の国民健康保険より負担が軽くなるケースが多くなります。
家族を扶養に入れられる点も大きいです。家族1人あたり月9,500円(小学校入学前の子どもは月6,000円)で加入できるため、家族が多い方はトータルの保険料を抑えやすくなります。
市区町村の国民健康保険にはない出産手当金や入院手当金の給付がある点も、美容国保ならではの強みです。
デメリット
協会けんぽ(社会保険)に比べると、出産・傷病時の保障が手薄です。出産手当金は協会けんぽの約4分の1程度しかなく、傷病手当金も入院時しか支給されません。産休・育休中の保険料免除もありません。
このため、女性スタッフが多いサロンでは「美容国保のままでいいのか」を検討する必要があります。求人の面でも「社会保険完備」と書けるかどうかは応募者にとって大きな判断材料です。
厚生年金に加入できないため、将来の年金が国民年金だけの水準になる点も覚えておく必要があります。
また、所得が低い時期は市区町村国保の軽減制度を使った方が安くなるケースがあります。開業直後で売上が不安定な時期は、保険料を比較してから判断するのがおすすめです。
美容国保の加入手続きと必要書類
美容国保に入るための手続きと、準備する書類を整理します。
手続きの流れ
加入手続きはシンプルです。必要書類を揃えて、組合の事務局に提出します。郵送でも窓口への持参でも対応しています。
書類に不備がなければ、提出から1〜3週間程度で保険証(資格確認書)が届きます。届く前に病院に行く必要がある場合は、事務局に相談すると対応方法を案内してもらえます。
必要書類の一覧
| 書類 | ひと言メモ |
|---|---|
| 加入申込書 | 組合の公式サイトからダウンロードできる |
| 世帯全員の住民票 | マイナンバーが載っているもの |
| 美容師免許証のコピー | 事業主・従業員ともに |
| 開業届のコピー | 個人事業主の場合 |
| 前の保険の資格喪失証明書 | 社会保険から切り替えるとき |
※状況によって必要書類が変わることがあります。提出前に事務局に確認しておくと確実です。
社会保険から美容国保に切り替えるとき
前の職場で社会保険に入っていた場合、退職日の翌日から14日以内に手続きするのが原則です。退職時に「健康保険資格喪失証明書」を受け取り、美容国保の書類と一緒に提出します。
ちなみに、社会保険には退職後も2年間だけ続けて入れる「任意継続」という仕組みもあります。任意継続は保険料が全額自己負担(会社が払ってくれていた分も自分で払う)になりますが、自治体によっては美容国保より安くなるケースもあります。退職前に両方の保険料を比べてから決めるのがおすすめです。
法人化するときの注意点|適用除外の届出は14日以内
個人事業主から法人化するオーナーにとって、最も見落としやすい落とし穴がこれです。
法人化すると、会社は協会けんぽ(社会保険)に入る義務が生じます。つまり、何もしなければ美容国保を抜けて協会けんぽに移ることになります。
ただし、個人事業主のときに美容国保に入っていた場合に限り、「健康保険適用除外」という手続きをすれば、法人化後も美容国保に残ることができます。
ここで絶対に覚えておいてほしいのが、届出の期限です。
法人を設立した日から14日以内に、年金事務所へ届出を出す必要があります。
この14日を1日でも過ぎると、美容国保に残ることが認められなくなります。そして、一度協会けんぽに移った後に美容国保へ戻ることはできません。
法人化を考えているオーナーは、法人設立の手続きと並行して、美容国保の事務局と年金事務所の両方に事前に相談しておいてください。14日以内の届出が難しそうな場合も、事前に年金事務所に連絡しておけば対応してもらえるケースがあります。
美容国保と確定申告|保険料は控除の対象になる?
結論から言うと、美容国保の保険料は確定申告で全額控除できます。
確定申告のときに「社会保険料控除」という欄があります。ここに1年間で支払った美容国保の保険料を記入すれば、その分だけ税金の計算のもとになる所得が減り、結果的に税金が安くなります。
家族の分の保険料をまとめて払っている場合は、家族分も含めて控除の対象です。
年末調整で処理する場合も同じです。スタッフが自分で保険料を負担している場合は、スタッフ自身の年末調整で控除を受けられます。
控除の証明には、組合から届く保険料の納付証明を使います。届かない場合や紛失した場合は、組合の事務局に問い合わせて再発行してもらえます。
まとめ
この記事のポイントを整理します。
| テーマ | ポイント |
|---|---|
| 美容国保とは | 美容業界で働く人のための健康保険。東京を中心に関東圏が対象 |
| 保険料 | 収入に関係なく一律。事業主:月21,500円、従業員:月15,500円(令和7年度) |
| 国保との違い | 美容国保は定額。所得が高いほどお得。出産手当金・入院手当金がある |
| 社会保険との違い | 協会けんぽの方が出産・傷病の保障が手厚い。厚生年金の有無も大きな差 |
| メリット | 保険料が一律で稼いでも上がらない。扶養制度あり |
| デメリット | 出産・傷病の保障が協会けんぽより薄い。厚生年金なし |
| 法人化の注意 | 「適用除外」の届出は14日以内。過ぎると美容国保に戻れない |
| 確定申告 | 保険料は全額が社会保険料控除の対象 |
美容国保は「保険料が一律で、稼いでも上がらない」という大きなメリットがある一方、「出産や病気のときの保障が協会けんぽより手薄」というデメリットもあります。
どの保険が自分に合っているかは、今の収入、家族構成、スタッフの産休・育休への対応、将来の法人化の予定によって変わります。ぜひ参考にしてください。
よくある質問
Q. 美容国保を脱退するにはどうすればいい?
美容業をやめた場合や、協会けんぽなど他の保険に入った場合は、組合に脱退届を出します。届出書は組合の公式サイトからダウンロードでき、郵送でも提出できます。保険証(資格確認書)は脱退時に返却が必要です。新しい保険の加入日が決まってから手続きを行ってください。
Q. 健康診断や人間ドックの補助はある?
あります。東京美容国民健康保険組合では、特定健診の実施や人間ドックの費用助成を行っています。補助の金額や内容は年度によって変わるため、詳しくは組合の公式サイトか事務局への電話で確認してください。年に一度、風邪やインフルエンザ予防のための保健医薬品が無料で配られる制度もあります。
Q. 美容国保の出産手当金が少ないと聞きました。実際いくらですか?
美容国保の出産手当金は15万円程度です(組合や時期により異なる場合があります)。協会けんぽの場合は「産休前の給料の約3分の2 × 約98日分」が支給されるため、月収25万円のスタッフなら約54万円になります。この差は約40万円です。一方、「出産育児一時金」(赤ちゃん1人につき原則50万円)は美容国保でも支給されます。出産手当金と出産育児一時金は別の制度なので、混同しないように注意してください。
Q. 保険証(資格確認書)はいつ届く?
書類を提出してから、通常1〜3週間程度で届きます。書類に不備があると再提出が必要になるため、届くまでの期間が延びることがあります。届く前に病院に行く必要がある場合は、事務局に電話すると対応方法を教えてもらえます。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。保険料や給付内容は年度や組合によって変更される場合があります。具体的な手続きや判断にあたっては、加入先の組合や専門家にご確認ください。










