美容室の閉店ラッシュ|倒産・廃業の実態・閉店率・閉店にかかる費用・居抜き買取まで解説

「最近、近所の美容室がまた閉まった。」

美容室の倒産が過去最多ペースで推移しています。帝国データバンクの調査によると、2025年1〜8月の美容室の倒産件数は157件。3年連続で過去最多を更新しており、「美容室の閉店ラッシュ」という言葉がニュースでも取り上げられるようになりました。

ただし、この数字だけを見て「美容室はもう危ない」と判断するのは早計です。

倒産しているのは主に5〜10店舗規模の中堅サロン。一定の顧客を持って独立し、1〜2店舗で経営している小規模サロンは、実はそこまで潰れていません。

問題の本質は「潰れるかどうか」ではなく、「潰れないけど豊かになれていない」サロンが大量に存在していること。そして、その構造を理解しないまま経営を続けた結果、じわじわと追い詰められていくケースが増えていることです。

この記事では、美容室の閉店・倒産の実態、閉店率のデータ、閉店の原因、閉店にかかる費用、居抜き買取の選択肢、そして閉店を回避するために今からできることまで解説します。

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目次

美容室の閉店ラッシュ|倒産の実態をデータで見る

倒産件数の推移

帝国データバンクの調査によると、美容室(負債1,000万円以上の法的整理)の倒産件数は以下のように推移しています。

2019年:166件(当時の過去最多)。2020年:147件。2021年:113件。2022年:117件。2023年:215件(年間で過去最多を更新)。2025年1〜8月:157件(さらに過去最多ペース)。

2020〜2021年はコロナ禍の各種支援策(実質無利子融資、持続化給付金など)で倒産が抑えられていましたが、それらの支援が終了した2023年以降、一気に倒産が増加しました。

倒産の原因

倒産理由で最も多いのは「販売不振」で、全体の約9割を占めています。

販売不振の背景にあるのは、以下の3つの要因です。

コスト高。円安や原材料高の影響で、シャンプーやカラー剤などの美容資材が値上がりしています。人件費も上昇傾向にあり、コストが売上を上回るサロンが増えています。

人手不足。スタイリストの採用が難しくなり、人件費が高騰。100万円以上売り上げるスタイリストがサロンに留まる平均在籍年数は8年から4年に短縮しています。幹部が辞める理由の58%は「お金の問題・将来の不安」です。

競争激化。美容室の店舗数は約27万軒と過去最多。少子化で市場は縮小しているのに、店舗数は増え続けている。フリーランス美容師やシェアサロンも増加し、実質的な競合はさらに多い状況です。

倒産しているのはどんなサロンか

倒産の中心にいるのは、5〜10店舗規模の中堅サロンです。

多店舗展開の過程で、これまでオーナーが無償で担っていた「店長」「教育」「採用」などの役割が人件費と固定費に変わり、売上の増加よりも負荷の増加が大きくなる。技術教育はあっても、評価制度やスタッフ定着の仕組みが整っておらず、スタッフの大量離職が経営を直撃するケースが目立ちます。

一方で、一定の顧客を持って独立し、1〜2店舗で経営しているオーナーは、リスクがそれほど大きくないため潰れにくい。ただし、潰れないことと豊かになることは別の話です。

美容室の閉店率|どのくらいの確率で閉店するのか

美容室の閉店率(廃業率)について、よく引用されるデータがあります。

開業から1年以内に閉店するサロンは約60%。3年以内に閉店するサロンは約90%。10年以内に閉店するサロンは約95%。20年以上続くサロンは全体の0.3%程度。

このデータは複数の情報源で引用されていますが、公的な統計としてこの数字が一元的に公表されているわけではない点には注意が必要です。一般的な事業全体の廃業率(開業1年未満で約4割、10年で約1割が存続)と比較すると、美容室の廃業率は「高い」と言われてはいるものの、実態は「美容室ほど潰れにくい業種は少ない」という見方もあります。

美容室が比較的潰れにくい理由は、毎日現金が入ってくる現金商売であること、在庫リスクが低いこと、固定客がつけば一定の売上が見込めることです。

ただし、「潰れない」ことと「利益が出ている」ことは違います。赤字経営が4割というデータ(帝国データバンク調べ)が示す通り、潰れていなくても利益が出ていないサロンは相当数存在しています。

美容室が閉店に追い込まれる5つのパターン

パターン①:コストを把握していない

売上は悪くないのに、手元にお金が残らない。この状態のまま経営を続け、気づいたときには資金が尽きている。

美容室の4大コスト(人件費・家賃光熱費・材料費・広告費)の合計が売上の80%を超えている状態は「コストメタボ」です。80%以内に収めるのが健全な経営の目安ですが、この数字を月次で把握していないオーナーは意外と多い。

パターン②:スタッフの離職で売上が消える

美容室は「人に依存するビジネスモデル」です。スタッフ1人の退職が、そのまま売上の消失を意味します。

100万円以上売り上げるスタイリストが辞めると、その売上は翌月から消えます。残ったスタッフの負担は増え、さらに離職が連鎖する。この負のスパイラルに入ると、立て直しが非常に困難になります。

パターン③:借入の返済が経営を圧迫する

「黒字なのにお金がない」という状態の最大の原因が、借入金の返済です。

借入金の返済はコスト(経費)ではなく、税金を支払った後の利益から行います。この仕組みを理解していないと、「利益は出ているはずなのに預金残高が減っていく」という状態に陥ります。

開業時に多額の借入をして、内装や設備にこだわりすぎた結果、月々の返済額が経営を圧迫するケースは少なくありません。

パターン④:値上げができない

材料費が上がり、最低賃金も上がり、コストは確実に増えている。にもかかわらず、施術料金を上げられない。

値上げをしても利益が「不変・減少」となったケースが8割を占めるというデータもあります。値上げの幅が不十分だったり、値上げに伴う客離れを防ぐ設計ができていなかったりすると、値上げ自体が失敗に終わります。

値上げできない最大の理由は「スタッフからの反感」です。オーナーは経営を考えて値上げを検討しますが、スタッフはお客さまの財布を心配して反対する。この構造的な対立が、値上げの最大の壁になっています。

パターン⑤:集客を一つのチャネルに依存している

ホットペッパーだけに頼っている。紹介だけで成り立っていたのに、紹介が減ってきた。

集客チャネルが一つしかない状態は、そのチャネルが機能しなくなったときに経営が一気に傾くリスクを抱えています。

美容室の閉店にかかる費用

閉店を決断した場合、想定以上の費用がかかることを知っておく必要があります。

原状回復費用

賃貸物件の場合、退去時に「原状回復」(借りたときの状態に戻すこと)が求められるのが一般的です。

美容室はシャンプー台や配管、内装の造作など、通常の事務所やテナントよりも大がかりな工事が入っているため、原状回復費用は高額になりやすい。坪単価で5〜15万円、20坪の店舗であれば100〜300万円程度が目安です。

解約予告期間の家賃

テナントの賃貸契約では、解約の3〜6カ月前に通知が求められるケースが多いです。閉店を決めてから実際に退去するまでの期間も家賃が発生し続けるため、この期間の家賃負担も閉店コストに含まれます。

スタッフの解雇に伴う費用

スタッフを雇用している場合、解雇予告手当(30日前に通知しない場合は30日分以上の平均賃金)の支払いが発生します。退職金制度がある場合は、退職金の支払いも含まれます。

設備・機材の撤去・処分費用

シャンプー台、セット椅子、ドライヤー、POSレジなどの設備を撤去・処分する費用もかかります。

残っている借入金の返済

閉店しても借入金は残ります。事業を閉じた後も返済が続くため、閉店前に借入残高と返済計画を確認しておくことが重要です。

美容室の居抜き買取|閉店コストを抑える選択肢

閉店にかかる費用を大幅に抑えられる可能性があるのが、「居抜き売却(買取)」です。

居抜き売却とは

美容室の内装や設備をそのままの状態で、次に入るオーナーに売却(譲渡)すること。原状回復工事が不要になるため、閉店する側は原状回復費用を削減でき、場合によっては売却益を得ることも可能です。

開業する側にとっても、内装や設備をゼロから揃える必要がないため、初期費用を大幅に抑えられるメリットがあります。

居抜き売却の流れ

居抜き売却を専門に扱う不動産会社やマッチングサービスに相談する。物件の査定を受け、売却価格を決定する。買い手が見つかり次第、契約・引き渡しを行う。

スタッフの雇用の引き継ぎ、顧客情報の取り扱い、リース契約の精算など、細かい交渉が発生するため、専門の業者を通すのが一般的です。

居抜き売却の注意点

物件のオーナー(大家)の承諾が得られないと、居抜き売却はできません。賃貸契約上の制約を事前に確認しましょう。

売却価格は、立地、内装の状態、設備の年数、残りの賃貸契約期間などによって変わります。築年数が古い設備や、デザインが特殊すぎる内装は買い手がつきにくい傾向があります。

閉店を回避するために今からできること

閉店ラッシュの背景にある「コスト高」「人手不足」「競争激化」は、業界全体の問題です。ただし、これらの問題に対して「仕組み」で対応しているサロンと、何もしていないサロンでは、数年後の経営状態に大きな差がつきます。

①数字を毎月見る習慣をつくる

月末にPOSレジを締めたら、翌月5日までに売上、4大コスト、利益の3つの数字を確認する。これだけで「いつの間にかお金がなくなっていた」という事態を防げます。

4大コストの合計が売上の80%を超えていないか。預金残高から消費税の見込み額と安全キャッシュラインを引いた「本当に自由に使えるお金」がいくらあるか。

②スタッフが残る仕組みをつくる

気持ちだけでは人は定着しません。就業規則(ルール)、評価制度(数字と貢献度の見える化)、将来の安心(社会保険・退職金・資産形成の教育)。この3つが揃ったサロンは、人が残りやすくなります。

③集客チャネルを分散させる

ホットペッパーだけ、紹介だけ、に依存しない。MEO、Instagram、ブログ、LINE公式アカウント。複数の集客チャネルを育てて、どれか1つが機能しなくなっても経営が回る状態をつくる。

④値上げの設計をする

「値上げ」ではなく「メニュー構成の見直し」として取り組む。客離れを防ぐには、値上げの理由をお客さまに伝えられる根拠と、値上げ後もリピートしてもらえるサービスの設計が欠かせません。

⑤出口戦略を持っておく

「ずっと続ける」以外の選択肢を頭に入れておくことも、経営者として重要です。

事業譲渡(M&A)、居抜き売却、フリーランスへの転換、別業態への転換。閉店が「最後の手段」になってしまう前に、複数の出口を持っておくことで、精神的にも経営的にも余裕が生まれます。

まとめ

テーマポイント
倒産の実態2025年1〜8月で157件・過去最多ペース。3年連続で増加
倒産の原因コスト高 / 人手不足 / 競争激化の三重苦。赤字経営が4割
倒産の中心5〜10店舗の中堅サロン。小規模サロンは潰れにくいが豊かになれていない
閉店率1年以内60%・3年以内90%(通説)。ただし美容室は現金商売で比較的潰れにくい業種
閉店の5パターンコスト未把握 / 離職で売上消失 / 返済圧迫 / 値上げできない / 集客チャネル依存
閉店にかかる費用原状回復100〜300万円 / 解約予告家賃 / 解雇手当 / 設備処分 / 借入残
居抜き買取原状回復費削減+売却益の可能性。専門業者を通すのが一般的
閉店を回避するには数字を月次で見る / 人が残る仕組み / 集客分散 / 値上げ設計 / 出口戦略

美容室の閉店ラッシュが話題になっていますが、閉店するサロンと生き残るサロンの差は、技術力の差ではありません。

数字を見ているか。コストを管理しているか。人が残る仕組みがあるか。集客の導線を複数持っているか。

閉店は「ある日突然やってくる」のではなく、「じわじわと追い詰められた結果」として起きます。今の数字を見て、構造的な問題がないかを確認する。それが最も確実な閉店回避策です。

ぜひ参考にしてください。

よくある質問

Q. 美容室の閉店を決断するタイミングはいつですか?

「赤字が続いているから閉めるべき」とは限りません。判断基準として見るべきは、預金残高から消費税の見込み額と安全キャッシュライン(固定費の2〜3カ月分)を引いた「キャッシュ余力」です。キャッシュ余力がマイナスの状態が数カ月続いている場合は、早めに専門家(税理士や中小企業診断士)に相談しましょう。閉店以外にも、事業譲渡や業態転換など複数の選択肢があります。

Q. 閉店する場合、スタッフにはいつ伝えるべきですか?

労働基準法では、解雇の30日前までに通知する義務があります。ただし、現実的にはスタッフの転職活動の時間を考慮し、2〜3カ月前に伝えるのが望ましいです。閉店が確定する前に情報が漏れるとスタッフの不安や顧客離れにつながるため、伝えるタイミングと順番は慎重に計画しましょう。

Q. 閉店ではなく事業譲渡(M&A)という選択肢はありますか?

あります。美容室のM&A(事業譲渡)は近年増えており、顧客リスト、スタッフの雇用、内装・設備をまとめて譲渡するケースがあります。閉店して原状回復費用を払うよりも、譲渡によって費用を抑えつつスタッフの雇用を守れる可能性もあります。美容業界に特化したM&A仲介会社や居抜き売却の専門業者に相談するのが第一歩です。

Q. 美容室を閉店する場合、費用はどのくらいかかりますか?

主な費用は、原状回復費用(100〜300万円程度)、解約予告期間中の家賃(3〜6カ月分)、スタッフの解雇予告手当、設備の撤去・処分費用です。居抜き売却ができれば原状回復費用を大幅に削減でき、売却益を得られるケースもあります。閉店を検討する場合は、まず専門の居抜き売却業者に相談してみるのが現実的です。

Q. 美容室を居抜きで買取してもらうことはできますか?

可能です。美容室の居抜き売却を専門に扱うマッチングサービスや不動産会社があります。内装や設備をそのまま次のオーナーに引き渡すことで、原状回復費用が不要になり、売却益を得られる場合もあります。ただし、物件オーナー(大家)の承諾が前提となるため、賃貸契約上の制約を事前に確認しましょう。

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