美容師の失業保険|もらえる条件・もらえないケース・金額の目安・手続きの流れ・独立時の再就職手当まで解説

「サロンを辞めたら、失業保険ってもらえるの?」

答えは「雇用保険に加入していれば、もらえる可能性がある」です。

ただし、美容師ならではの注意点がいくつかあります。

たとえば、業務委託(フリーランス)で働いている場合は雇用保険に加入していないため、原則として失業保険はもらえません。また、「独立開業のために辞める」場合は、失業の定義に当てはまらず対象外になるケースがあります。

「知らなかったから、もらえるはずのお金をもらわなかった。」

これは美容師に限らず、退職時によくある話です。

この記事では、美容師が失業保険(正式名称:雇用保険の基本手当)をもらうための条件、もらえないケース、金額の目安と計算方法、手続きの流れ、独立する場合に使える再就職手当まで解説します。

\LINE登録で「最新助成金情報」を無料配布中/
サロン経営で役立つノウハウも定期的にお届けしております!

監修者

社会保険労務士
野田 大吾郎

美容室経営に詳しい社会保険労務士。
人材定着、評価制度、労働条件の設計など、人に関わる経営課題を中心に、美容室の労務体制づくりを支援している。正解を押し付ける制度設計ではなく、サロンごとの働き方や現場の実情に合わせ、実際に運用できる仕組みを整えることを重視。スタッフとオーナー双方が無理なく働ける環境づくりを得意とする。
また、「美容サロンが申請すべき3つの助成金」を提唱し、助成金の活用支援においても豊富な実績を持つ。

美容業界に特化した会計・労務の専門チーム。
500サロン以上の支援経験をもとに、数字・人・将来の判断を“感覚”ではなく“軸”でできる経営を支えています。税金や節税だけで終わらせず、
「なぜお金が残らないのか」「どこで判断を間違えやすいのか」を整理し、
オーナーが安心して経営の舵を切れる状態をつくることをサポート。

美容室オーナーのお金と働き方の悩みに寄り添うパートナー

私たち airchair は、これまでに500サロン以上を支援してきた「美容業界に特化した会計・労務サービス」です。

美容室オーナーが「ストレスなく、サロン経営に集中できる環境」をつくることを目指しています。

こんな悩みありませんか?

  • 税理士、社労士に相談しても、美容室の現場感に合った答えが返ってこない
  • 数字や経営の話を、美容師仲間やスタッフには相談できず、孤独を感じている
  • 決算の数字を見ても、何を改善すべきかわからない
  • 設備投資やスタッフ採用の判断を、“なんとなく”でしてしまっている
  • 他のサロンがどうやってお金を残しているのか知りたい
  • 数字に基づいた経営判断で、将来の不安をなくしたい

そんな悩みを抱える美容師・サロンオーナーの皆さまをサポートしています。

airchairができること

  • 会計・財務の数字改善サポート
  • 労務・スタッフ管理の仕組みづくり
  • 将来を見据えたキャリア・お金の相談

美容師・サロンオーナーの方々が抱える 「お金・労務・将来の不安」 をトータルでサポートします。

LINEで無料相談も受け付けておりますので、お気軽にご相談ください!

セカンドオピニオンはこちらへ

airchairでは「無料相談=セカンドオピニオン」として、経営を見直すきっかけとしております。
「今のままでいいのかな?」とお悩みの方は方はお気軽にお問い合わせください。

目次

失業保険(基本手当)とは何か

失業保険とは、雇用保険に加入していた人が退職した後、次の仕事が見つかるまでの生活を支えるために国から支給される給付金です。

正式名称は「雇用保険の基本手当」です。

支給の目的は「生活費の心配なく、再就職のための活動に専念してもらうこと」。つまり、「次の仕事を探している状態」であることが前提です。

失業保険は、退職すれば自動的にもらえるものではありません。ハローワークで所定の手続きを行い、「失業の状態にある」と認定された場合に支給されます。

美容師が失業保険をもらえる条件

基本的な受給条件

退職日以前の2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算12カ月以上あること。ハローワークで求職の申し込みをしていること。失業の状態にあり、再就職する意思と能力があること。

「失業の状態」とは、「就職する意思があり、いつでも働ける状態にあるが、仕事に就けていない状態」を指します。

会社都合で退職した場合

サロンの閉店や経営不振によるリストラなど、会社都合で退職した場合は「特定受給資格者」に該当します。この場合、受給条件が緩和され、退職日以前の1年間に被保険者期間が6カ月以上あれば受給資格を得られます。

また、待期期間(7日間)の後すぐに支給が開始されるため、自己都合退職よりも早くお金を受け取れます。

自己都合で退職した場合

「もっと条件の良いサロンに転職したい」「人間関係がうまくいかなかった」など、自分の意思で退職した場合は「一般の離職者」に該当します。

待期期間7日間に加えて、1カ月の給付制限期間があり、実際に失業保険を受け取れるのは退職から約2カ月後になります(過去5年間に2回以上、正当な理由なく自己都合退職をしている場合は3カ月の給付制限)。

美容師で失業保険をもらえないケース

ケース①:業務委託(フリーランス)で働いていた場合

業務委託契約で働いている美容師は、個人事業主です。雇用保険に加入していないため、失業保険の対象にはなりません。

業務委託のデメリットとして「失業保険なし」「傷病手当なし」「年金受給額が少ない」という3点が挙げられます。業務委託は歩合制で手取りが高く見えますが、こうしたセーフティネットがないことを理解した上で選択する必要があります。

ケース②:独立開業のために退職した場合

「自分のサロンを開くために今のサロンを辞める」。美容師に多いこのケースは、失業の定義(再就職する意思がある状態)に当てはまらないため、失業保険の対象外となります。

すでに開業届を提出している、または開業に向けた具体的な準備(物件の契約、内装工事の発注など)を進めている場合は、「失業」ではなく「事業の開始」とみなされます。

ただし、独立する場合でも「再就職手当」が受け取れる可能性があります(後述)。

ケース③:雇用保険に加入していなかった場合

正社員であっても、勤務先のサロンが雇用保険の手続きをしていなかった場合は受給資格がありません。

自分が雇用保険に加入しているかどうかは、給与明細の「控除」欄に「雇用保険」の記載があるかで確認できます。マイナポータルからも確認可能です。不安な場合はハローワークに問い合わせましょう。

ケース④:退職後すぐに次のサロンで働き始めた場合

退職翌日から別のサロンで働き始めた場合は「失業の状態」にないため、失業保険は受給できません。

失業保険の金額の目安

計算方法

失業保険の1日あたりの支給額(基本手当日額)は、以下の計算で算出されます。

退職前6カ月間の賃金合計÷180日=賃金日額。賃金日額×給付率(45〜80%)=基本手当日額。

給付率は、賃金日額が低い人ほど高く、高い人ほど低く設定されています。また、年齢によって上限額があります。

美容師の場合の目安

たとえば、退職前6カ月間の月収が25万円だった場合、賃金日額は約8,333円。給付率を60%とすると、基本手当日額は約5,000円。

この場合、4週間(28日)で約14万円が支給される計算です。

支給日数は、年齢と雇用保険の加入期間、退職理由によって異なりますが、自己都合退職の場合は90〜150日、会社都合退職の場合は90〜330日が目安です。

正確な金額は個人の状況によって異なるため、ハローワークで確認してください。

手続きの流れ

ステップ1:離職票を受け取る

退職後、サロンから「雇用保険被保険者離職票」が届きます。通常、退職から10日〜2週間程度で届きますが、届かない場合はサロンに請求しましょう。

ステップ2:ハローワークで求職の申し込みをする

住所地を管轄するハローワークに以下の書類を持参し、求職の申し込みと離職票の提出を行います。

雇用保険被保険者離職票、マイナンバーカード(または通知カード+身分証明書)、本人名義の預金通帳またはキャッシュカード、顔写真2枚(マイナンバーカードがあれば省略可)。

ステップ3:雇用保険説明会に参加する

ハローワークから指定された日時に説明会に参加し、「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」を受け取ります。

ステップ4:求職活動を行い、失業の認定を受ける

4週間に1回の認定日にハローワークに行き、求職活動の実績を報告します。失業の状態にあると認定されれば、その期間分の失業保険が口座に振り込まれます。

独立する美容師が使える「再就職手当」

サロンを辞めて独立開業する場合、失業保険はもらえませんが、「再就職手当」が受け取れる可能性があります。

再就職手当とは、失業保険の受給資格がある人が、支給残日数を一定以上残した状態で再就職(または事業を開始)した場合に支給される一時金です。

独立開業で再就職手当をもらうための条件

ハローワークで失業保険の受給手続きを行い、7日間の待期期間を満了していること。失業保険の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上残っていること。1年を超えて事業を安定的に継続できるとハローワークが認めたこと。

自己都合退職の場合の注意点

自己都合退職の場合、待期期間7日間の満了後、さらに1カ月が経過してからでないと、開業による再就職手当の対象になりません。この1カ月以内に開業届を提出したり、実質的な事業活動を開始すると対象外になります。

再就職手当の金額の目安

支給残日数が所定給付日数の3分の2以上残っている場合:基本手当日額×支給残日数×70%。支給残日数が所定給付日数の3分の1以上残っている場合:基本手当日額×支給残日数×60%。

たとえば、基本手当日額が5,000円で、所定給付日数90日のうち60日残っている場合、5,000円×60日×60%=18万円が一括で支給されます。

独立を考えている美容師は、退職前にハローワークに相談し、再就職手当の受給スケジュールを確認しておくことが重要です。

オーナーが知っておくべき雇用保険の基礎

スタッフが退職する際に「離職票」を発行するのはサロン側(オーナー)の義務です。

サロン側が対応すべきこと

退職したスタッフに離職票を速やかに発行する(退職日から10日以内にハローワークに届出)。離職理由が「自己都合」か「会社都合」かを正確に記載する。雇用保険の資格喪失届を提出する。

離職理由の記載が事実と異なる場合、後からスタッフがハローワークに異議を申し立てるケースがあります。退職理由は事実に基づいて正確に記載しましょう。

雇用保険の加入義務

1人でも雇用しているサロンは、原則として雇用保険に加入する義務があります。「うちは小さいサロンだから加入しなくていい」は間違いです。

雇用保険に未加入の状態でスタッフが退職し、失業保険を受け取れなかった場合、サロン側が損害賠償を請求されるリスクがあります。

まとめ

テーマポイント
失業保険とは雇用保険に加入していた人が退職後に受け取れる給付金。ハローワークでの手続きが前提
もらえる条件雇用保険の被保険者期間12カ月以上(会社都合は6カ月以上)+再就職の意思+失業の状態
もらえないケース業務委託(個人事業主) / 独立開業目的の退職 / 雇用保険未加入 / 退職後すぐに就職
金額の目安退職前6カ月の賃金の約50〜80%が日額。月収25万円なら月約14万円程度
手続きの流れ離職票を受け取る → ハローワークで求職申込 → 説明会参加 → 4週間ごとに認定
再就職手当独立開業する場合も受給可能。スケジュール管理が重要。退職前にハローワークに相談を
オーナーの義務離職票の発行 / 離職理由の正確な記載 / 雇用保険の加入義務

美容師が退職する際、「失業保険は自分には関係ない」と思い込んで手続きをしない人は少なくありません。

しかし、正社員として雇用保険に加入していた人は、退職後に一定期間の給付を受ける権利があります。知らなかったために数十万円を受け取り損ねるのは、もったいない話です。

一方、業務委託で働いている美容師には失業保険がありません。これは業務委託のデメリットの一つであり、「歩合が高い」というメリットの裏側にある現実です。

いずれの働き方であっても、「今の自分がどんな社会保障に守られているか」を把握しておくことが、美容師としてのキャリアを長く安定して続けるための基盤になります。

ぜひ参考にしてください。

よくある質問

Q. 美容師のパート・アルバイトでも失業保険はもらえますか?

はい。パート・アルバイトであっても、雇用保険に加入していれば失業保険の対象になります。雇用保険の加入条件は、「週の所定労働時間が20時間以上」かつ「31日以上の雇用の見込みがある」ことです。自分が加入しているかどうかは給与明細やハローワークで確認できます。

Q. 業務委託の美容師が退職した場合、何かもらえる制度はありますか?

業務委託(個人事業主)の場合、雇用保険に加入していないため失業保険は受け取れません。ただし、業務委託を辞めて正社員として別のサロンに就職し、その後退職した場合は、その期間の雇用保険加入を条件に受給資格が生じます。業務委託期間中の備えとしては、小規模企業共済やNISAなど、自分で資産を積み立てる方法を検討しましょう。

Q. サロンから離職票が届きません。どうすればいいですか?

退職日から2週間以上経っても届かない場合は、まずサロンに催促しましょう。それでも発行されない場合は、ハローワークに相談すれば、ハローワークからサロンに対して発行を催促してもらえます。離職票の発行はサロン側の法的義務です。

Q. 退職後に独立する予定ですが、失業保険をもらいながら準備することはできますか?

開業届を提出する前であれば、失業保険を受給しながら求職活動をすることは可能です。ただし、開業届を提出した時点で失業保険の受給資格を失います。独立を前提に退職した場合は、失業保険ではなく「再就職手当」を活用する方が合理的です。スケジュールや条件は複雑なため、退職前にハローワークに相談してください。

Q. 失業保険を受給中にアルバイトはできますか?

所定の時間・金額の範囲内であれば可能です。ただし、アルバイトで収入を得た日は失業保険の支給対象外となり、その分の支給日数が繰り越されます。また、アルバイトの事実を申告しなかった場合は不正受給とみなされるため、収入が発生した場合は認定日に正確に申告してください。

目次