美容室の設備投資はいくら必要?回収できる経営設計の考え方

美容室の設備投資はいくら必要?回収できる経営設計の考え方

「設備投資って、結局いくらかかるの?」

この疑問は、美容室オーナーなら誰でも一度は抱いたことがあるはずです。

開業するとき、内装を変えるとき、シャンプー台を入れ替えるとき、2店舗目を出すとき。

美容室経営には、さまざまなタイミングで設備投資の判断が求められます。

ただ、本当に大事なのは「いくらかかるか」ではありません。

「投資した金額を、どうやって回収するか」です。

1,000万円かけて開業しても、それを回収できる設計がなければ、黒字なのにお金が残らない構造に陥ります。逆に、500万円の投資でも、回収の設計ができていれば、着実に利益を積み上げていけます。

西脇

この記事では、美容室の設備投資について「開業時」「営業中の更新・リニューアル」「売上を上げるための投資」「2店舗目の出店」の4つのフェーズに分けて、費用の目安と回収の考え方を解説します。

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監修者

公認会計士・税理士
西脇 敬久

MBA、公認会計士、税理士の資格を有し、美容業界に特化した公認会計士・税理士として多数の美容室を支援。
決算書や試算表を専門家だけのものにせず、経営者が経営判断に使える形へと整理することを強みとしている。
美容室経営において本当に見るべき数字を明確にし、「誰でもわかる会計の見える化」を通じて、利益構造やコストバランスをシンプルに把握できる財務設計を行う。美容室向けの会計セミナー講師としても活動中。

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目次

美容室の設備投資には4つのフェーズがある

「設備投資」と一口に言っても、タイミングと目的によって中身はまったく違います。

フェーズタイミング目的
① 開業時の設備投資独立・新規出店時サロンを営業できる状態にする
② 営業中の更新・リニューアル開業後3〜10年老朽化した設備の入替え、空間の刷新
③ 売上を上げるための投資随時新メニュー導入、客単価UP、ブランディング強化
④ 2店舗目の出店1店舗目が軌道に乗った後事業拡大、売上の天井突破

多くの記事は①の「開業費用の一覧」で終わっています。

でも、美容室オーナーが本当に悩むのは②〜④のフェーズです。

しかも、どのフェーズでも「いくらかけるか」よりも「かけたお金をどう回収するか」の方がはるかに重要です。

順番に見ていきましょう。

① 開業時の設備投資

まずは最も情報が多い「開業時」の設備投資から整理します。

開業費用の全体像

美容室の開業費用は、サロンの規模やこだわりによって大きく変わりますが、一般的な目安は以下の通りです。

サロン規模開業費用の目安
1人美容室(10〜15坪)700〜1,000万円程度
スタッフ2〜3人(20〜30坪)1,000〜1,500万円程度

※居抜き物件の場合は大幅に圧縮できる可能性があります。

開業費用の内訳

開業費用は大きく「設備資金」と「運転資金」の2つに分かれます。設備資金が全体の約70%、運転資金が約30%が一般的な配分です。

費用項目内容目安の割合
物件取得費保証金(敷金)、礼金、仲介手数料、前家賃全体の15〜25%程度
内外装工事費床・壁・天井の造作、給排水、空調、電気、照明、外装全体の40〜50%程度
設備・備品費シャンプー台、スタイリングチェア、鏡、パーマ機材、ドライヤー、ワゴン、レジ、パソコンなど全体の15〜20%程度
材料仕入費カラー剤、パーマ液、シャンプー、トリートメントなどの初回仕入れ全体の3〜5%程度
広告宣伝費ホームページ制作、予約サイト掲載、チラシ、SNS広告全体の5%程度
運転資金開業後の家賃、光熱費、人件費、材料費など当面の運営費全体の20〜30%程度

最も大きいのは内外装工事費

開業費用の中で最も大きな割合を占めるのが内外装工事費です。

内装工事費の目安は坪あたり30〜50万円程度と言われています。ただし、美容室は給排水の設備工事が多い業種のため、一般的な店舗よりも設備工事の割合が高くなりやすい点に注意が必要です。

物件タイプ特徴内外装費の目安
スケルトン物件何もない状態からつくる。デザインの自由度が高い高い(坪30〜50万円程度)
居抜き物件(美容室)前の美容室の設備を活用できる。コストを大幅に圧縮可能低い(スケルトンの半額以下になることも)

居抜き物件は開業費用を大幅に抑えられますが、設備の状態をしっかり確認する必要があります。古い設備の修理やリフォームに想定以上の費用がかかるケースもあるため、事前のチェックは欠かせません。

設備・備品費の内訳

設備1台あたりの目安備考
シャンプー台数十万円〜台数・タイプ(サイド・リア・フルフラット)で大きく変動
スタイリングチェア数万円〜数十万円グレードにより幅が大きい
鏡(セット面)数万円〜セット面の台数分必要
パーマ・カラー用機材数十万円〜メニュー内容に応じて選定
ドライヤー・アイロン数万円〜台数分+予備が必要
レジ・POSシステム月額制〜数十万円クラウド型なら初期費用を抑えられる
その他備品数十万円〜ワゴン、タオルウォーマー、冷蔵庫、洗濯機など

※設備の価格は選ぶメーカーやグレードによって大きく変わります。ここでは概算の目安として記載しています。

運転資金を甘く見ない

見落とされがちですが、運転資金の確保は極めて重要です。

開業してすぐに売上が安定するサロンはほとんどありません。売上が軌道に乗るまでの家賃、光熱費、人件費、材料費を支払えるだけの現金が必要です。

一般的には、固定費の3〜6カ月分を運転資金として確保しておくことが推奨されています。

「設備にお金をかけすぎて、運転資金が足りなくなった」

これは開業で失敗するパターンのひとつです。設備投資と運転資金のバランスを最初の段階で設計しておくことが、安定したスタートにつながります。

② 営業中の更新・リニューアル投資

開業後も設備投資は続きます。むしろ、ここからが本番です。

設備には寿命がある

美容室の設備は日々使い続けるものです。当然、経年劣化します。

設備入替えの目安
シャンプー台購入からおおむね7〜10年程度が目安(使用頻度や機種による)
スタイリングチェアおおむね5〜10年程度(劣化・座り心地の低下が出たら検討)
内装(壁紙・床)おおむね5〜10年程度(汚れ・傷みが目立ち始めたら検討)
エアコンおおむね10年前後(効きが悪くなったら早めに検討)
給排水設備おおむね10〜15年(水漏れ等のトラブルが出る前に点検推奨)

※上記はあくまで一般的な目安です。使用環境やメンテナンス状況によって大きく異なります。

設備の劣化は、お客さまの満足度に直結します。

座り心地の悪い椅子、水圧の弱いシャンプー台、色褪せた内装。

オーナーは毎日見ているから気づきにくいですが、お客さまは変化を敏感に感じ取ります。

リニューアル投資の考え方

全面リニューアルは費用が大きくなりますが、部分的な更新であれば段階的に進められます。

リニューアルの種類費用感の目安効果
壁紙・床の張り替え規模による(数十万円〜)空間の印象が大きく変わる。費用対効果が高い
シャンプー台の入替え1台あたり数十万円〜施術の快適性が直接向上する
照明の変更数万円〜数十万円雰囲気が変わり、写真映えにも影響
スタイリングチェアの入替え1台あたり数万円〜数十万円お客さまの滞在時間の快適性に直結
全面リニューアル規模による(数百万円〜)サロンのブランドイメージを一新できる

リニューアルを「まとめて一気にやる」のか「計画的に少しずつ更新する」のかは、サロンのキャッシュ状況と相談しながら決めるべきポイントです。

③ 売上を上げるための設備投資

ここが最も判断が難しく、そして最もリターンが大きい領域です。

「壊れたから替える」のではなく、「売上を上げるために投資する」。

この判断ができるかどうかが、現状維持のサロンと成長するサロンの分かれ道になります。

客単価を上げるための投資

投資対象具体例期待できる効果
ヘッドスパ専用設備ヘッドスパ用シャンプー台、専用チェア高単価メニューの追加。リピート率の向上
髪質改善メニュー用の機材超音波トリートメント機器など技術力の差別化。客単価UP
マイクロバブル装置シャンプー台への追加設備施術品質の向上。口コミ効果
個室・半個室の設置内装工事プライベート空間のニーズに対応。単価アップ

集客力を上げるための投資

投資対象具体例期待できる効果
外装・ファサードの改修看板、入口まわりのリニューアル新規の飛び込み来店増加。通行人へのアピール
撮影スペースの整備照明、背景の整備SNS発信の質が上がり、集客につながる
予約システムの導入・更新オンライン予約、POSレジ予約の取りこぼし防止。顧客管理の効率化
キャッシュレス決済の導入カード決済端末、QR決済お客さまの利便性向上。機会損失の防止

生産性を上げるための投資

投資対象具体例期待できる効果
自動洗髪機オートシャンプーアシスタント不在でも回転率を維持できる
セット面の増設内装工事+設備追加同時施術数の増加。売上の天井が上がる
バックヤードの効率化収納、動線の改善スタッフの作業効率が上がり、回転率が改善

投資判断の基準は「回収できるか」

売上を上げるための投資で最も大切なのは、「その投資で売上がいくら増えるか」「何カ月で回収できるか」を事前に試算することです。

たとえば、ヘッドスパ用の設備に投資する場合。

「ヘッドスパメニューを導入したら、月にどのくらいの追加売上が見込めるか」「その売上から材料費や時間コストを引いた利益はいくらか」「投資額を利益で割ると、何カ月で回収できるか」

この試算をせずに「流行っているから」「他のサロンがやっているから」で投資すると、設備だけが増えてコストが膨らむ結果になりかねません。

④ 2店舗目の出店投資

1店舗目が軌道に乗ると、次に考えるのが2店舗目の出店です。

2店舗目は「1店舗目の延長」ではない

2店舗目の出店は、単純に開業をもう一度やるということではありません。

1店舗目とは異なる判断が必要になります。

1店舗目の出店2店舗目の出店
オーナーが現場に立てるオーナー不在でも回る仕組みが必要
自分の売上で利益を出せるスタッフの売上で利益を出す必要がある
コスト管理は感覚でも回る2店舗分のコスト管理が必要になる
失敗しても自分の問題1店舗目の経営にも影響が及ぶ

2店舗目を出すために必要なのは、開業資金だけではありません。

「1店舗目が、オーナーがいなくても回る状態になっているか」「スタッフの売上だけで1店舗目の利益が確保できているか」「2店舗分のコストを管理する体制があるか」

これらが整っていない状態で2店舗目に投資すると、両方の店舗が苦しくなるリスクがあります。

2店舗目の投資判断に必要な数字

2店舗目を検討する際は、以下の数字を把握しておく必要があります。

確認すべき数字なぜ必要か
1店舗目のキャッシュ余力2店舗目の投資に回せる余裕があるかを確認するため
1店舗目の4大コスト比率80%以内に収まっていなければ、2店舗目を出しても同じ構造になる
借入の返済状況既存の借入返済と新規借入の返済を合わせて無理がないか
オーナー不在時の1店舗目の売上オーナーの売上に依存していないかの確認

投資を回収する「経営設計」の考え方

ここからが、この記事で最も伝えたい内容です。

設備投資の費用相場を知ることは大切です。でも、それだけでは経営は良くなりません。

「いくらかけるか」よりも「かけたお金をどう回収するか」。

この視点がないまま投資すると、黒字なのにお金が残らない構造に陥ります。

「借入償還年数」で投資判断をする

設備投資に融資を使う場合、必ず確認すべき指標があります。

それが「借入償還年数」です。

借入償還年数とは、現在の借入金を、税引後の利益で何年かけて返済できるかを示す指標です。

借入償還年数判断の目安
5年以内理想的。返済に余裕がある状態
10年以内目安の範囲内。計画的に返済可能
10年超注意が必要。返済が経営を圧迫するリスクがある

新たな設備投資で借入が増える場合、既存の借入と合わせた償還年数がどうなるかを事前に確認してください。

「返済はコストではない」を理解する

ここは多くのオーナーが見落としているポイントです。

借入金の返済は、経費(コスト)ではありません。

返済は、税金を支払った後の利益から行うものです。

つまり、「黒字なのにお金がない」という状態が起きるのは、利益が出ていても、その利益が返済に回っているからです。

項目コスト(経費)か?
家賃コスト
人件費コスト
材料費コスト
広告費コスト
借入金の利息コスト
借入金の元本返済コストではない(税引後利益から支払う)

この構造を理解していないと、「決算書では黒字なのに、通帳を見るとお金が増えていない」という状態の原因がわかりません。

設備投資を借入で行う場合は、「その投資で生まれる利益から、税金を払った残りで返済できるか」を試算する必要があります。

「減価償却費」はキャッシュと一致しない

もうひとつ、設備投資で必ず知っておくべき概念があります。

それが「減価償却費」です。

内装やシャンプー台など、長く使う設備を購入した場合、その費用は一度に全額経費にするのではなく、使える期間(耐用年数)に分けて毎年少しずつ経費として計上します。これが減価償却です。

年度実際のお金の動き決算書上の経費
投資した年購入費用を一括で支払う耐用年数で割った金額だけが経費になる
翌年以降お金は出ていかない減価償却費として経費が計上される

つまり、お金はすでに支払い済みなのに、決算書上ではまだ経費が計上されている状態が続きます。

これが「利益が出ているのにキャッシュが増えない」もうひとつの原因です。

逆に言えば、減価償却費は「お金が出ていかない経費」なので、キャッシュフロー(実際のお金の流れ)を把握するときには、減価償却費を除いて計算する必要があります。

4大コスト80%以内が「投資余力」の目安

設備投資を回収するためには、まずサロンの基本的なコスト構造が整っている必要があります。

美容室経営で押さえるべきは「4大コスト」です。

4大コスト内容
人件費オーナーの報酬+スタッフの給与+社会保険料
家賃光熱費店舗の賃料+光熱費+Wi-Fiなど
材料費カラー剤、パーマ液、シャンプー、店販仕入れなど
広告費集客サイト、SNS広告、チラシなど

この4大コストの合計が売上の80%以内に収まっていること。これが経営の健全性を示すひとつの目安です。

4大コストが80%以内であれば、残りの20%が「余白」になります。

この余白から、税金の支払い、借入の返済、そして次の設備投資への原資が生まれます。

逆に、4大コストが80%を超えている「コストメタボ」の状態では、利益が出ても返済や投資に回すお金が残りません。この状態で新たな設備投資をすると、さらにキャッシュが厳しくなる悪循環に陥ります。

設備投資を検討する前に、まず自分のサロンの4大コスト比率を確認すること。これが出発点です。

「キャッシュ余力」で投資判断をする

もうひとつ、投資判断で重要な指標があります。

それが「キャッシュ余力」です。

キャッシュ余力とは、預金残高から消費税の見込額と安全キャッシュライン(サロンコストの2カ月分程度)を引いた「本当に自由に使えるお金」のことです。

項目内容
預金残高通帳に入っている金額
− 消費税の見込額すでに預かっている消費税。自由に使えるお金ではない
− 安全キャッシュライン急な売上減やトラブルに備えて確保しておくべき金額(サロンコストの2カ月分が目安)
= キャッシュ余力本当に自由に使えるお金

通帳に1,000万円あっても、消費税の見込額が200万円、安全キャッシュラインが300万円であれば、キャッシュ余力は500万円です。

設備投資は、このキャッシュ余力の範囲内で判断するのが基本です。

キャッシュ余力がマイナスの状態で新たな投資をするのは、かなりリスクが高い判断になります。

サロンタイプ別の投資判断

もうひとつ、設備投資で見落とされがちな視点があります。

それは「サロンのタイプによって、投資すべき場所が違う」ということです。

同じ設備投資でも、サロンの経営方針によって優先順位はまったく変わります。

ブランディング特化型サロン

駅前の一等地やショッピングモール、ロードサイドに出店し、空間やブランドイメージで集客するタイプのサロンです。

このタイプの特徴投資で意識すべきこと
家賃が高い(立地に投資している)家賃光熱費にコストをかけている分、広告費を抑える工夫が必要
内装・外装のクオリティが重要看板やチラシ、口コミ戦略で、広告費をかけずにできる新規集客法を練る
ブランディングのための設備投資に積極的家賃+設備投資の合計が重くなりやすいため、他のコストの管理を徹底する

人材特化型サロン

スタッフの定着と育成に力を入れ、人材の質で勝負するタイプのサロンです。

このタイプの特徴投資で意識すべきこと
人件費が高い(スタッフの待遇に投資している)人件費にコストをかける分、材料費・家賃・広告費を厳密に管理する
スタッフが働きやすい環境への投資が優先派手な内装より、バックヤードの効率化や設備の使い勝手を重視する
教育投資の比重が大きい設備投資は「スタッフの生産性を上げるもの」を優先する

どちらのタイプが正解ということではありません。

大切なのは、「自分のサロンはどのタイプなのか」を明確にした上で、そのタイプに合った場所にコストをかけ、合わないところを抑えることです。

やみくもにコストを使って、すべてに投資しようとすると、4大コストが80%を超える「コストメタボ」に陥ります。

かけるべきところにかけ、抑えるべきところを抑える。

この判断ができるのは、自分のサロンのコスト構造を数字で把握しているオーナーだけです。

設備投資で失敗しないための5つの原則

最後に、設備投資の判断で失敗しないための原則を整理します。

原則① 投資の前に「コスト構造」を確認する

自分のサロンの4大コスト比率がわからない状態で投資判断をしてはいけません。

まず自サロンの人件費、家賃光熱費、材料費、広告費の合計が売上の何%かを把握する。80%以内に収まっていなければ、投資よりも先にコスト構造の見直しが必要です。

原則② 「回収期間」を必ず試算する

「この投資で売上がいくら増えるか」「利益がいくら増えるか」「何カ月で投資額を回収できるか」

この3つを事前に試算する。試算できない投資は、判断を保留するのが賢明です。

原則③ キャッシュ余力の範囲内で判断する

預金残高ではなく、消費税見込額と安全キャッシュラインを引いた「キャッシュ余力」で判断する。

キャッシュ余力がマイナスなら、投資の前にキャッシュを貯める期間が必要です。

原則④ 借入は「償還年数」で判断する

融資を使う場合は、既存の借入と合わせた借入償還年数を確認する。10年を超えるなら、投資規模を見直すか、タイミングを後ろにずらすことを検討する。

原則⑤ 「流行っているから」で投資しない

新しい機材やメニューが話題になると、つい導入したくなります。

でも、自分のサロンのお客さまが求めているか、自サロンのスタッフが使いこなせるか、投資に見合う売上が見込めるか。

この3つに「Yes」と言えない投資は、コストが増えるだけで終わる可能性が高い。

まとめ

この記事で紹介した内容を整理します。

テーマポイント
設備投資の4フェーズ開業時、営業中の更新、売上UPのための投資、2店舗目。フェーズごとに目的と判断基準が異なる
開業時の費用目安1人美容室で700〜1,000万円程度。内外装工事費が最大で全体の40〜50%
営業中の更新設備には寿命がある。お客さまの満足度に直結するため、計画的な更新が必要
売上UPの投資「流行っているから」ではなく「回収できるか」で判断する
2店舗目1店舗目がオーナー不在で回る状態になっているかが前提条件
4大コスト80%以内投資の前にコスト構造を確認する。80%を超えている状態での投資は危険
借入償還年数理想5年以内、目安10年以内。これを超える投資は規模かタイミングを見直す
返済はコストではない返済は税引後利益から。黒字なのにお金がない原因はここにある
減価償却≠キャッシュお金はすでに出ていっているのに、決算書上ではまだ経費が計上される。キャッシュフローとの違いを理解する
キャッシュ余力預金残高 − 消費税見込額 − 安全キャッシュライン = 本当に自由に使えるお金
サロンタイプ別ブランディング特化型と人材特化型では投資すべき場所が違う。「全部に投資」はコストメタボの原因

設備投資の「いくらかかるか」は調べればわかります。

でも、「かけたお金をどう回収するか」は、自分のサロンの数字を見なければわかりません。

大事なのは、投資の前にまず自サロンのコスト構造を把握すること。

数字を整理することは難しくありません。知っているかどうかだけの差です。ぜひ参考にしてください。

よくある質問

Q. 設備投資は自己資金と融資、どちらが良い?

どちらが良いかは一概に言えません。自己資金で賄えるならキャッシュの減少を最小限に抑えられますが、手元資金を使いすぎるとキャッシュ余力がなくなるリスクがあります。融資を使えば手元資金を残せますが、返済負担が生じます。大切なのは、借入償還年数やキャッシュ余力を踏まえて、自分のサロンに合ったバランスを設計することです。

Q. 居抜き物件は本当にお得?

内外装費を大幅に抑えられる可能性がある点ではメリットが大きいです。ただし、設備の状態が悪い場合は修理や入替えに想定以上の費用がかかることもあります。また、前の店舗のイメージが残ることで、自分のコンセプトとのギャップが生じるリスクもあります。事前の状態確認と、修繕費を含めたトータルコストで判断するのが重要です。

Q. シャンプー台やチェアはリースと購入、どちらが良い?

購入は初期費用が大きいですが、長期的にはコストが安くなる傾向があります。リースは月々の支払いで済むため初期費用を抑えられますが、契約期間のトータルコストは購入より高くなることが多いです。開業時のキャッシュに余裕がない場合はリースで始め、経営が安定してから購入に切り替えるのもひとつの方法です。

Q. 内装工事費を抑えるコツは?

複数の業者から見積もりを取ること、美容室の施工実績がある業者を選ぶこと、優先順位を明確にして「こだわるところ」と「抑えるところ」を分けることが基本です。特に給排水工事は美容室特有のコストがかかりやすいため、ここの費用感を事前に確認しておくことが重要です。

Q. 設備投資のタイミングはいつが良い?

「壊れてから考える」のではなく、計画的に進めるのが理想です。設備の寿命を把握し、入替えの時期をあらかじめ想定しておく。その上で、キャッシュ余力がある時期に投資する。決算期をまたぐタイミングで投資すると、減価償却や税金の面で有利になるケースもあるため、顧問税理士に相談するのがおすすめです。

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