社会保険に加入したら、いくらぐらい払うことになるの?
美容室って社会保険に入っていないところ多いって聞いたけど、実際はどうなの?
美容師として働く際に知っておくべき大切なことの一つに、社会保険があります。
美容師という職業は他の業界と異なる独自の労働環境があり、社会保険に関しても多くの疑問や不安を抱えている方が多いでしょう。
本記事では、美容師が知っておくべき社会保険の基本的な知識から、美容室での適用状況、そしてフリーランス美容師向けの保険制度まで、詳しく解説していきます。
社会保険や年金の知識は働く上で必要な知識です!
わかりやすく解説していきますので、参考にしてください。
- 社会保険の基本的な知識をつけたい!
- なぜ美容業界は社会保険に加入しているところが少ないか知りたい
- 社会保険に入りたいフリーランス美容師
監修者

西脇 敬久
株式会社DAM代表取締役。MBA、公認会計士、税理士の資格を所有。美容業界に特化した公認会計士として、美容院の顧客を多数抱える。美容院経営で必要な数字を明確にし、”誰でもわかる会計の見える化”で18%の利益率を目指す。美容院の会計に特化したセミナー講師としても活動中。
当社は美容業界に特化した会計サービスを提供。数字を活用し、人材流出を防ぎながら、18%の利益率を目指す経営支援を行います。会計業務にとどまらず、経営改善やスタッフ定着率向上のアドバイスを通じて、美容室経営の安定と成長をトータルサポートいたします。
【大前提】美容師として知っておいてほしい国民健康保険と社会保険の違いについて
国民健康保険 国民年金 | 社会保険 厚生年金 | |
---|---|---|
医療費 | 3割負担 | 3割負担 |
年金受給額 | 最低限度額 | 国民年金より高い |
扶養 | × | ◯ |
傷病手当 | × | ◯ |
- 加入対象者
- 保険料
- 給付内容
- 年金の違い
- 社会保険には扶養の概念がある
国民健康保険と社会保険は、どちらも日本の公的医療保険制度ですが、加入対象者や保険料の計算方法、給付内容などに違いがあります。

そもそもの違いを最初にお話しします!
難しいと感じるところもあるとは思いますが、簡単に説明していきます!
国民健康保険と社会保険の違い①|加入対象者
- 国民健康保険(国保)・・・主に自営業者、フリーランス、農業者、学生、無職の人が対象です。会社に勤めていない人が加入することになります。
- 社会保険(健康保険)・・・主に会社員や公務員が対象です。会社に雇用されている場合、雇用主が加入手続きを行い、保険料の半分を負担します。



あとで説明しますが、美容室の場合は正社員でも社会保険に加入していないところも多いです。
その場合は、正社員でも国民健康保険に加入をして払う必要があります。
国民健康保険と社会保険の違い②|保険料
- 国民健康保険・・・世帯ごとに課され、前年の所得や世帯の人数に基づいて計算されます。全額を自己負担する必要があります。
- 社会保険・・・給与に基づいて計算され、労使折半で支払われます。従業員は給与から自動的に天引きされ、雇用主が半分を負担します。
国民健康保険と社会保険の違い③|給付内容
- 国民健康保険・・・病気やけがの治療費の負担軽減が主な内容で、出産や高額医療費の補助もありますが、社会保険に比べて給付範囲が狭い場合があります。
- 社会保険・・・医療費補助に加えて、健康保険には傷病手当金や出産手当金などの給付が含まれることが多く、年金保険(厚生年金)や労災保険、雇用保険など他の保険も一緒に含まれていることが一般的です。
国民健康保険と社会保険の違い④|年金の違い
- 国民健康保険・・・国民年金に加入する必要があります。
- 社会保険・・・厚生年金にも自動的に加入します。
国民健康保険と社会保険の違い⑤|社会保険には扶養の概念がある
- 国民健康保険(国保)・・・国保には「扶養」という概念がありません。世帯単位で保険に加入するため、世帯全員がそれぞれ保険料を支払います。たとえば、配偶者や子どもが無収入であっても、それぞれに保険料が課されます。
- 社会保険(健康保険)・・・社会保険には「扶養家族」という概念があります。扶養される家族(配偶者や子どもなど)は、一定の条件を満たすことで、保険料の負担なしで被保険者と同じ健康保険に加入できます。
扶養に入れるとは、条件を満たす収入がない、または少ない家族(配偶者や子どもなど)がいた場合に、扶養される人が保険料・年金を支払わなくてもいい制度のことをいいます。



家庭の状況にもよりますが、扶養に入れることで保険料と年金を抑えることができます。
国民健康保険だと扶養に入れることができないのも大きな違いです。
美容師が覚えておくべき社会保険の種類
- 健康保険
- 厚生年金保険
- 労災保険
- 雇用保険
- 介護保険
社会保険は、病気や失業、老後の生活など、人生の様々なリスクに備えるための重要な制度であり、日本の社会保障の基盤となっています。
健康保険
健康保険は、病気やケガをした際に医療費の負担を1〜3割に軽減するものです。
健康保険の種類
健康保険には大きく分けて2種類あります。国民健康保険と健康保険です。
国民健康保険は自営業やフリーランスの美容師が加入する保険で、保険料は全額自己負担です。
一方、健康保険は会社員として雇用されている美容師が加入する保険で、会社と折半して保険料を支払います。
健康保険の保障内容
健康保険に加入していると、医療費の負担が1~3割に軽減されるほか、出産手当金や傷病手当金といった手厚い保障を受けることができます。
これに対して、国民健康保険では、こうした手当が受けられないため、美容師がどちらの保険に加入しているのかを確認することが重要です。
年金保険
年金保険とは、65歳以降に一定額の老齢年金が支給される制度です。
働き手が亡くなったときにその家族に支払われる遺族年金。
病気やケガで障害が残ったときに支払われる障害年金。
年金保険による保障の一部となります。



年金保険は任意で積み立てる3階建ての構造で紹介されることが多いので、合わせて紹介します!


- 国民年金・・・日本では20歳以上の国民が全員加入する
- 厚生年金・・・会社員として働く方が加入
厚生年金保険は、美容師として将来の生活を支えるための重要な年金制度です。
国民年金と厚生年金の違い
国民年金は、全ての国民が加入する基本的な年金で、フリーランスや自営業の美容師も対象です。
一方で、厚生年金は会社員が加入する年金で、国民年金に上乗せする形で支給されます。
これにより、将来的に受け取れる年金額が増えるため、厚生年金に加入することは美容師にとって大きなメリットとなります。
厚生年金の負担とメリット
厚生年金の保険料は会社と従業員で折半されます。
これにより、国民年金に比べて負担が軽減される反面、給料の手取りが減少する場合があります。
しかし、将来の年金額が増えることで、長期的に見れば非常に有利な制度となります。



スタッフの方の払っている額と同じ金額を美容室でも負担しています。
ここは忘れないでほしいです!
労災保険
労災保険は、仕事中や通勤途中に発生したケガや病気に対して保障を行う保険制度であり、雇用されている従業員は全員が対象となります。
労災保険の仕組み
労災保険は、事業主が全額負担する保険で、従業員が保険料を支払う必要はありません。
この保険により、業務中に発生した事故や怪我についての治療費や休業補償が受けられます。
業務委託やフリーランス美容師の対応
業務委託やフリーランスとして働く美容師は、労災保険に加入していない場合があります。
そのため、リスクを考慮して自身で保険に加入するか、事業主に加入を促すことが重要です。
雇用保険
雇用保険は、雇用者が失業した場合や再就職をサポートするための保険です。
美容師も例外ではなく、雇用されている場合は必ずこの保険に加入します。
雇用保険の役割
雇用保険は、失業手当をはじめとする様々な給付があり、美容師が失業した際の生活を支援します。また、再就職活動をサポートする制度も含まれており、再就職の際に役立つ情報提供や職業訓練の機会が提供されます。
保険料の負担
雇用保険料は、事業者と従業員が双方で負担します。
具体的には、雇用保険料率は0.9%であり、その内訳として事業者が0.6%、従業員が0.3%を負担します。
この負担は美容師が働く上での保障となるため、安心感を持って働ける環境が整います。
介護保険
介護保険は、40歳以上の被保険者が加入する保険で、介護が必要となった際に介護サービスを受けられる制度です。
美容師として長く働く際には、この保険の存在を知っておくことも重要です。
介護保険の仕組み
介護保険は、40歳から64歳の第2号被保険者と、65歳以上の第1号被保険者が対象です。
第2号被保険者の場合、特定の病気にかかると介護保険サービスを利用できるようになります。
この保険料も、事業者と従業員が折半で負担します。
美容師が介護保険を利用するケース
介護保険は、家族に介護が必要な場合や、自身が将来介護を受ける可能性がある場合に役立つ保険です。
美容師として忙しい毎日を過ごしていると、家族の介護が突然必要になることも考えられるため、この保険を理解しておくことは重要です。
【注意して!】加入義務がなく社会保険が用意していない・適用されない美容室もある
「正社員=社会保険完備」ではない
社会保険は在職中だけでなく退職後もサポートを受けられる重要な制度ですが、すべての美容室がこの制度を整えているわけではありません。
雇用保険や労災保険はどの美容室でも加入が義務付けられていますが、健康保険や厚生年金については、加入義務がない美容室も存在します。
加入義務がない美容室
- 個人事業主が運営する美容院で従業員数が5人未満の事業所
こちらに当てはまる場合、健康保険や厚生年金が整備されていない可能性があり、従業員が自分で国民健康保険や国民年金に加入する必要があります。



小規模サロンの場合は、社会保険完備かの確認をしてほしいです。
【美容業界の課題】美容室に社会保険完備が少ない理由はなに?
- 個人事業主が運営する美容室の経営事情
- 社会保険の負担が経営に与える影響
社会保険に加入したい、と考える経営者も多いですが経営を考えた時に躊躇してしまう方も少なくありません。
というのも、社会保険料の負担額は従業員と美容室で折半をする必要があるためです。
しかも社会保険料の負担額はかなり大きく、給与の約15%を美容室が負担する必要があります。



社会保険料の負担額は経営を圧迫するため、社会保険完備の美容室が少ない理由となります。
社会保険料の会社負担額の例はこちら
社会保険料の会社負担額を計算する際、健康保険、厚生年金保険、雇用保険の3つを考慮します。
具体的な料率は以下の通り(2024年8月時点の標準的な料率を使用しますが、地域や保険組合により異なる場合があります)。
- 健康保険料: 約9.8%(従業員と会社で折半なので、会社負担は約4.9%)
- 厚生年金保険料: 約18.3%(従業員と会社で折半なので、会社負担は約9.15%)
- 雇用保険料: 0.6%(会社が全額負担)
これらの料率を元に、月収が30万円、40万円、50万円の場合の会社負担額を計算した表は以下の通りです。
月収 | 健康保険料 (4.9%) | 厚生年金保険料 (9.15%) | 雇用保険料 (0.6%) | 会社負担合計 |
---|---|---|---|---|
30万円 | 14,700円 | 27,450円 | 1,800円 | 43,950円 |
40万円 | 19,600円 | 36,600円 | 2,400円 | 58,600円 |
50万円 | 24,500円 | 45,750円 | 3,000円 | 73,250円 |
美容室が社会保険に加入するメリット・デメリット


社会保険料の負担が増えるため、経営を圧迫する可能性はありますがそれ以上のメリットも多くなっています。
特に、美容室を拡大していきたい、人をどんどん雇用していきたい場合は社会保険に加入することがおすすめです。
社会保険がないところで長く働くのは辛い。
何かあったときに国民健康保険と国民年金だと怖いよ。
など、美容師も長く安心して働くためにいい環境を求めています。
これから美容師として働くにあたり、「ケガや病気のときの収入が心配」「働きながらそのうち出産したい」「将来もらえる年金額を少しでも増やしたい」などと考えている方も多くなっています。



スタッフを大切にして満足度を上げるためにも社会保険完備を検討してください!
【社会保険ではないけど】美容師は美容国保に入る選択肢もある
地域によっては、美容組合が美容関連事業所に勤務する美容師が加入できる保険(美容国保)を用意しています。
国民健康保険と美容国保の違いとしては、保険料の算定方法です。
- 美容国保・・・一律
- 国民健康保険・・・前年度の所得に応じて決定
国民健康保険は所得が低いときはいいのですが、所得が高くなると支払額がかなり多くなります。
ある一定の所得を超える方に関しては、美容国保の方が圧倒的にお得になる場合があります。



地域によって加入できる、できないがありますが美容国保がある場合は検討してほしいです!
代表的な2つの健康組合の紹介
- 東京美容国民健康保険組合
- 大阪府整容国民健康保険組合
東京美容国民健康保険組合


加入条件
東京都内の事業所に勤務すること。
(フリーランス美容師でも加入OK)
居住エリア
- 東京
- 神奈川
- 千葉
- 埼玉
- 茨城
- 山梨
大阪府整容国民健康保険組合


加入条件
大阪府内の個人経営の美容室で働いている方のみ
居住エリア
- 大阪
- 兵庫
- 奈良
- 京都
- 和歌山
- 滋賀
- 三重
まとめ
美容師にとって社会保険は、将来の安心や生活の安定を支える重要な要素です。
本記事では、健康保険や厚生年金、労災保険、雇用保険、介護保険など、美容師が知っておくべき社会保険の基礎知識を解説しました。
また、社会保険が適用されない美容室の特徴や、社会保険が完備されたサロンで働くことのメリットについても触れました。
美容師としてキャリアを築く上で、社会保険の知識は欠かせません。
適切な労働環境を選び、自分に合ったサロンで安心して働けるようにするためにも、この記事を参考にしていただければ幸いです。
皆様の美容師生活がより充実したものになることを願っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
引用元
厚生労働省:社会保障とは何か
厚生労働省:雇用保険制度
厚生労働省:労災補償
日本年金機構:知っておきたい年金のはなし
日本年金機構:公的年金制度の種類と加入する制度
日本年金機構:適用事業所と被保険者