【美容室の開業届手続きやることリスト】税務署や保健所への必要書類と申請方法

この記事でわかること
  • 美容室の開業手続きで必要な書類や流れ
  • 美容室開業で必要になる資格

美容室を開業することは、多くの人にとって夢であり、人生の大きな転機でもあります。

しかし、開業に至るまでには多くの手続きや申請が必要で、それをクリアしなければならない課題が山積しています。

特に、税務署や保健所、消防署などの関係機関への届出や申請は複雑で、初めて開業するオーナーにとっては戸惑うことも多いでしょう。

この記事では、美容室をスムーズに開業するために必要な書類や手続き、さらには開業に必要な資格について、詳しく解説していきます。

監修者

会計士
西脇 敬久

株式会社DAM代表取締役。MBA、公認会計士、税理士の資格を所有。美容業界に特化した公認会計士として、美容院の顧客を多数抱える。美容院経営で必要な数字を明確にし、”誰でもわかる会計の見える化”で18%の利益率を目指す。美容院の会計に特化したセミナー講師としても活動中。

当社は美容業界に特化した会計サービスを提供。数字を活用し、人材流出を防ぎながら、18%の利益率を目指す経営支援を行います。会計業務にとどまらず、経営改善やスタッフ定着率向上のアドバイスを通じて、美容室経営の安定と成長をトータルサポートいたします。

美容室の開業届とは?|税務署へ開業したことを伝える手続き

美容室を開業する際には、まず税務署に「開業届」を提出する必要があります。

これは、正式に事業をスタートしたことを国に知らせるための手続きです。

開業届を提出することで、税務署は事業者としてのあなたを認識し、今後の税金や社会保険の手続きを適切に行うことができます。

開業届の正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」といい、個人事業主が新たに事業を開始した場合に提出する書類です。

この手続きを行わないと、後々の確定申告や所得税の納税に影響が出る可能性があるため、必ず提出することが求められます。

開業届の提出期限は事業開始してから1ヶ月以内に行う

開業届は、事業を開始してから1か月以内に提出しなければなりません。

ただ、1か月という期限を過ぎても罰則があるわけではありませんが、開業届を提出しないと、青色申告の承認を受けることができなくなる可能性があります。

青色申告は、事業所得に対して特別控除を受けられる制度で、正規の帳簿を作成することが前提となりますが、税務上のメリットが非常に大きい制度です。

このため、青色申告を利用したい場合は、必ず開業届を期限内に提出することが重要です。

法人と個人事業でメリットが変わるため、それぞれ記載しておきます!

法人が青色申告をするメリット

  1. 税制優遇を受けられる・・・法人の場合、青色申告を行うことで、欠損金の繰り越しや特別償却などの税制優遇を受けられます。これにより、法人税の負担を軽減できます。
  2. 信用度が向上する・・・青色申告は、正確な帳簿を基に行われるため、金融機関や取引先からの信用度が高まります。融資を受ける際にも有利に働くことがあります。

個人が青色申告をするメリット

  1. 最大65万円の控除が受けられる・・・個人事業主の場合、正規の帳簿を作成して青色申告を行うと、最大で65万円の特別控除が受けられます。これにより、所得税の負担を大幅に軽減できます。
  2. 赤字の繰り越しが可能・・・青色申告を行うことで、事業が赤字の場合、その赤字を最長3年間繰り越して、翌年以降の所得から控除することができます。これにより、翌年以降の税負担を軽減できます。

開業届の提出方法|税務署へ3つの方法で提出できる

開業届の提出方法には、以下の3つがあります。

  • 税務署に直接提出する
  • 書類を郵送する
  • マイナンバーカードを使用し、オンラインで提出する

提出後、控えを必ず受け取り、大切に保管しておくことが重要です。

美容室と居住地が違う場合、居住地のある管轄の税務署が提出先となります。

個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁
新規に事業を開始された事業主の皆様へ|厚生労働省

美容室開業に必要な手続き

  • 税務署
  • 保健所
  • 消防署
  • 市区町村

美容室を開業するためには、税務署への開業届の提出以外にも、保健所や消防署、市区町村役場などでの手続きが必要です。

各機関への手続きは、それぞれ役割が異なり、漏れなく対応することが求められます。

以下では、主な手続きと必要書類について詳しく説明します。

美容室開業に必要な手続き|税務署への届出

提出書類 提出期限内容・説明
開業届出書(開設者が個人の場合のみ)事業開始日〜1か月以内個人事業主としての開業を税務署に届け出るためのもの
法人設立申請書(開設者が法人の場合のみ)事業開始日〜1か月以内法人としての開業を税務署に届け出るためのもの
青色申告承認申請書事業開始日〜2か月以内青色申告の承認を受けるための書類
給与支払事務所等の開設届書開設日〜1か月以内給与の支払いに関する事務所の開設を税務署に届け出るためのもの
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書翌月10日まで従業員が10人未満の場合、源泉徴収税の納期を年2回にするために提出します。通常、毎月支払う必要のある源泉所得税を、年2回にまとめて納付できるようになるため、小規模事業者には便利な制度

これらの書類は、美容室の経営を正式に開始するために必要なものであり、特に法人として美容室を設立する場合は、法人設立届出書の提出が重要です。

美容室開業に必要な手続き|保健所への届出

  • 美容所開設届
  • 施設の構造設備の概要
  • 施設の平面図
  • 従業員名簿
  • 美容師免許を持つ従業員の医師診断書
  • 登記事項証明書(法人の場合)
  • 住民票の写し(外国人の場合)

美容室を営業するためには、保健所への届出も必須です。

美容室は衛生面での管理が求められるため、保健所では施設の構造や設備が法律に適合しているかを確認します。

これらの書類を提出し、保健所の検査に合格することで、営業許可が下り、美容室を正式に開業できます。

提出期限については美容所の所在地を管轄する保健所へ確認してください!

美容室開業に必要な手続き|消防署への届出

  • 防火対象物使用開始届出書
  • 防火対象物工事等計画届出書

美容室の施設が消防法令に適合しているかを確認するため、消防署への届出も必要です。

これらの届出は、美容室の規模や設備によって必要になります。

消火器や火災報知器などの消防設備を整えることが求められるため、内装工事の前に消防署に相談することをおすすめします。

工事後に変更になった場合は費用がかなり発生いたします、、、
内装工事の前に確認していただき、トラブルにならないようにしましょう!

美容室開業に必要な手続き|市区町村への届出

美容室を開業する際、従業員を雇用する場合は、市区町村や都道府県税事務所にも届出が必要です。

主な書類は次の通りです。

美容室開業に必要な手続き|社会保険(健康保険・厚生年金保険)の手続き

  • 健康保険・厚生年金保険の新規適用届
  • 被保険者資格取得届
  • 被扶養者(異動)届
  • 法人登記簿謄本(法人の場合)
  • 事業主の世帯全員の住民票の原本(個人の場合)

提出期限

規定はないが速やかに提出が必要

提出先

所轄の年金事務所

美容室開業に必要な手続き|労働保険(労災保険・雇用保険)の手続き

  • 保険関係成立届…保険関係成立翌日から10日以内に提出
  • 概算保険料申告書…保険関係成立翌日から50日以内に提出
  • 雇用保険適用事業所設置届…設置翌日から10日以内に提出
  • 雇用保険被保険者資格取得届…資格取得翌月10日までに提出

美容室開業の流れ

美容室を開業するためには、以下のステップを順番に進める必要があります。

STEP
保健所・消防署への事前相談

店舗の図面や設備計画を保健所と消防署に確認してもらいます。どのような届出や設備が必要かを事前に確認しましょう。

STEP
保健所・消防署への書類提出

事前相談の結果、問題がなければ、必要な書類を保健所と消防署に提出します。

STEP
保健所による立入検査

保健所に書類を提出した後、施設の立入検査が行われます。検査に合格すれば、営業許可証が発行されます。

STEP
消防署による現地調査

消防署による現地調査で、必要な消防設備が整っているかが確認されます。

STEP
従業員の社会保険・労働保険の手続き

従業員を雇用する場合には、社会保険や労働保険の手続きを行います。

STEP
美容室の営業開始

すべての手続きが完了したら、いよいよ美容室の営業を開始できます。

STEP
税務署への開業届提出

最後に、税務署へ開業届を提出します。これで、正式に美容室の営業がスタートします。

美容室開業に必要な資格

  • 管理美容師免許…店舗に常時2名以上の美容師が勤務する場合に必要
  • 美容師免許…オーナー自身が美容師としてサービスを提供する場合に必要

美容室を開業するには、状況にもよりますが2つの資格が必要です。

それぞれ必要になるケースをご紹介いたします。

管理美容師免許が必要なケースとその理由

常時2名以上の美容師が勤務する美容室を開業する場合

これは、美容師法によって定められている義務であり、美容室の衛生管理を徹底するための重要な資格です。

美容室は、公共の衛生に直結する業種であるため、店内の衛生環境を維持する役割が非常に重要です。

この役割を担うのが管理美容師であり、資格を持つ者が責任を持って衛生面の管理を行うことが求められます。

参考:美容師法第12条の3

美容師免許が必要なケース

美容師兼オーナーとしてサービスを提供する場合は必要

美容室の開業に際して、経営者自身が美容師免許を持っている必要は必ずしもありません。

ただし、経営者が直接お客様に対して美容師としてのサービスを提供する場合は、美容師免許が必須となります。

美容師免許がなくてもできる業務

  • 接客・電話対応
  • 受付会計管理
  • 予約・商品管理
  • 道具の準備
  • 清掃・洗浄

美容師免許がないとできない業務

  • 美容師としての施術の全て

美容師免許がないと美容師として何もできません!
(美容師として働いているなら免許持っているとは思いますが。)

まとめ

美容室を開業するためには、保健所への美容所登録や税務署への開業届提出、消防署への届出など、さまざまな手続きが必要です。

これらの手続きを正確に行い、スムーズな開業を目指しましょう。

美容師法や関連法令に従い、求められる設備や管理をしっかりと整えることで、トラブルを未然に防ぎ、安心して営業を開始できる環境を作り上げることができます。

美容室の開業の際は、慎重に進めてトラブルにならないように進めましょう!

美容室の開業届手続きについてのよくある質問

美容室の開業届はどこに提出するのですか?

美容室の開業届は、税務署に提出する必要があります。また、保健所への美容所登録も同時に行うことが必要です。

開業届の提出期限はいつですか?

開業届は、事業開始日から1か月以内に税務署に提出する必要があります。期限を過ぎると青色申告の適用ができなくなる可能性があるので、早めに提出しましょう。

美容室を開業するための最初のステップは何ですか?

美容室を開業するための最初のステップは、保健所と消防署への事前相談です。店舗の図面や設備計画を確認してもらい、必要な手続きを明確にしましょう。

管理美容師の資格はどのような場合に必要ですか?

管理美容師の資格は、常時2名以上の美容師が勤務する美容室を開業する場合に必要です。管理美容師は店舗の衛生管理を担当する重要な役割を担います。

美容室を法人として開業するメリットは何ですか?

法人として美容室を開業するメリットには、税務上の優遇や社会的な信頼性の向上が挙げられます。また、将来的な事業拡大を考える場合にも、法人化が有利です。

美容室の開業費用はいくらかかりますか?

美容室の開業費用は、店舗の立地や規模、内装により異なりますが、一般的には500万円から1000万円程度が必要とされています。資金計画を立て、無理のない範囲で準備しましょう。

美容室を開業する際に必要な手続きの順番はありますか?

美容室の開業手続きは、保健所や消防署への事前相談から始め、税務署への開業届提出で完了します。順番を守り、スムーズに進めることが大切です。

美容室を開業する際の最適な立地条件は何ですか?

美容室の立地は、顧客層に合わせて選ぶことが重要です。駅近や住宅街、ショッピングモール内など、ターゲットに合わせた場所を選びましょう。

美容室の内装デザインはどのように決めればよいですか?

内装デザインは、サロンのコンセプトやターゲット顧客に合わせて決定します。心地よい空間を提供し、リピーターを増やすためのデザインを心がけましょう。